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映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【建築7】Wired Conference 2014 Future City pt.2

前回のpt.1ではWired Conferenceの概要

【建築7】Wired Conference 2014 Future City pt.1 - michischili 's note book/The Lost Rivers of Tokyo

が中心だったので、こちらではプレゼンをまとめる。

 

【未来都市】

雑誌ワイヤードはITを中心として、デザインやアート、建築などがどう変わっていくかなどを紹介している。今回のカンファレンスは都市が将来どう変わるかといったテーマ。僕は専門の教育は受けていないですが、建築に関しては素人以上のオタクだと自負している。当然間違っていることなどもあるかもしれないですが、詳しい方にご指摘いただけると幸いです。

 

 【ケビン・ケリー】

ワイヤード創刊時の編集長。

テクノロジーの進歩によって、世界はディストピアに向かうと思う人は多いようだが、必ず良い方向に進むと思うという話。

 

アーリーアダプターと呼ばれる人達が、まだ未完成な新テクノロジーに莫大な投資をする。現代でいえば例えば3Dスキャン、レーザーカッター、Go Proとかの技術かな?昔だったらまだWindowsが普及する前にMs-Dosとか初期のAppleとかを使ってた人達がいた。そして、未完成な技術を使い倒すことで、その技術はどんどん洗練される。技術が洗練されると、今度は一般人がが新技術を享受する段階になる。

そしてこういった新技術は都市で発展し、都市も新技術によって発展する。

また、都市とは多様性。様々な選択ができるのは都市の魅力であり、テクノロジーの発展によって都市も発展するだろう。という内容のカンファレンスの導入にぴったりのプレゼン。

 

【ライゾマティックの斎藤さんとの対談】

ネバダ州で開催されるバーニングマンという特殊なイベントの紹介。周りに何もない砂漠に街を作り上げ、新しくであった隣人達と共同生活を送る。独自の通貨やルールなどもあり、1週間後には全てを解体、無に返すというちょっとヒッピー的なイベント。一つの都市のあり方の例としての紹介だったが、初めて聞いたので結構面白かった。

 

【豊田啓介】

安藤忠雄事務所出身で、アメリカのShoPアーキテクツにも在籍していた豊田さんはNoiz Architectsという事務所を立ち上げ、デジタル技術をふんだんに使ったデザインで有名。3Dプリンターやレーザーカッターなどが普及し始めている現代では、物作りのあり方も変わるかもしれない。そんな中、建築や家具のデザインをするとどうなるか。

プレゼンは"Still life, still?"(まだ静止画?)というスライドから始まり、静的な建築ではなく、文字通り動く建築の可能性を氏の過去のプロジェクトなどと共に紹介していた。

 

 

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Morphing家具は、今までに作られてきた無数の椅子のデータを元に一つの椅子の形がすこづつ別の形へと変異するというコンセプトの家具。有名なアアルト、ペルリアン、ハーマンミラーなど、自分の好みの椅子を選んでそれを元に唯一無二のmorphing家具を作れる。

 

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こういったシュミレーションがパソコンでできるようになった現代では、かつての建築で必要だった構造計算ができなくなってきているそうです。

 

これがもう少し「都市」とどう関わるのかの説明があったら面白かった気がします。とはいえ、プレゼンもうまく、実作もたくさん見てみたくなりました。個人的には今後の活躍がとても気になります。

 

 

 

【ビャルケ・インゲルス】

今回のカンファレンスのヘッドライナー。レム・コールハース率いる事務所、OMA(Office of Metropolitan Architecture)出身のデンマーク人建築家。

都市と建物の境界線が曖昧になる、場所に根ざした独特の形態、OMAでもみられるような機能と構造のあり方を新しく見直すという彼の発想とそれを実現してしまう彼の力は今後の世界の建築と都市を変えること間違いなしです。ユーモアも交えた彼のプレゼンは巨匠のような貫禄がありながらも少年のようなエネルギーにあふれてます。

「快楽的サステイナビリティ」というコンセプトを提唱している氏は、

「これからは(サステイナブル)持続可能なシステム作りが必要になるがそれは禁欲的な物である必要はない。モダニズムの建築は、20世紀前半に活躍したドイツ人建築家ミース・ファンデルローエの「Less is more」(少ないことは豊かである)から始まり線が少なくある種、禁欲的で世界中どこにいっても同じような箱型の建物を作った。

それをアメリカ人建築家でラスベガスの都市と建築にみられる、大きな看板と箱という特徴を研究したロバート・ベンチューリが「Less is bore」(少ないことはつまらない)と批判した。ベンチューリなどがポストモダン建築を立てたが、ビャルケはそれを更に発展させ、オバマ大統領の「Yes, we can」と合わせて「Yes is more」という。

 詳しくは本人のプレゼンを見てください笑。

                         
Worldcraft: Bjarke Ingels (Future of StoryTelling 2014 ...

 

                          
TEDxEastSalon - Bjarke Ingels - Hedonistic ...

今回のプレゼンでは、最近のプロジェクトとして海洋博物館、オーディマ・ピゲ、NYで建設中のcourt scraper、NYの防災都市プロジェクト、LEGOの施設などとたくさん紹介があった。

 

【重松象平】

同じくOMAの所員で、OMAニューヨーク代表を勤める重松さんはビャルケさんの元同僚であり、良き友でもあるそうです。どうしてもコールハース本人が目立ってしまう為、重松さんがプレゼンした動画はあまり見たこと無かった。

 


老朽化した橋を公園に変える、OMAとOLINの「ワシントンD.C.版ハイライン計画」 « WIRED.jp

これが最近では面白そうなプロジェクト。

 

 

 

20分ほどのプレゼンだったけど、ビャルケは本人の建築についての解説が中心だったのに対して、重松さんは今後の日本と都市のあり方について提言していたため、より印象的だった。

 

まず、世界中で「未来」と題されたシンポジウムなどが過去にどれだけ開かれたかを発表。2010年が最も多く最近は現象気味。傾向としては経済が停滞気味の時こそ未来について語りたがるらしい。なるほど。

 

そして、最近は未来が現代を変えるような曖昧な状況になってきているという話。わかりやすくいうと、アマゾンでは勝手にユーザーが好きであろうという商品を届けたり、Uberなどのサービスもユーザーを先回りしてタクシーが待機するというサービスが考えられているらしい。では、都市と建築の場合は?

 

OMAがマリーナ・アブラモビッチという過激なパフォーマンス・アーティストに依頼された劇場の例を紹介。全ての演劇は6時間以上の公演時間がないといけない、という制約や、観客も公演に参加しなければならないという強い制約が設計に反映される。また、タイかどこか(すみません、失念しました)の南アジアの富豪の作った外観も内装もすべて黒色の変わった個人美術館もある。今後の都市は個人の希望が建築となり都市も変えて行くかもしれないというまとめ。

 

更に、食について言及。ちょっと意外だったけれど、かなり重要な指摘だと感じた。まず、本来の多様な都市ではアラカルトのように様々な物が選べると重松さんは説明。しかし最近では弁当箱がたくさん立ち並ぶような都市になっている。要するに、だいたいどこを見ても、米があって(オフィス部分)、肉があって(低層部分に商業施設があって)、野菜があって(駐車場など)と似たり寄ったりなビルがたくさんできていると。

 

その中でも、ヒカリエやアベノハルカスなどは、機能(プログラム)に応じて元の建物のボリュームを変えるという手法が見られて(積み木を少しずつずらすような感覚)、単なる高層ビルではない点が好感が持てる。

 

そして本当の食の話に。重松さんが教えているハーバード大学のデザインのコースで学生と行った食についてのリサーチの紹介。服や建物は世界中で均質化したが、食はまだ多様である。北米大陸の西側、アメリカとカナダをまたぐエリアに独立国家を作ろという運動がある。カスカディア共和国という名前で、環境問題に関心のある人たちが中心に活動している。そしてカスカディアでは多様な食を確保できるというのが強みだと言う。(調べてみるとこの構想、アメリカ3代目大統領のトーマス・ジェファーソンが元のアイディアを出したらしい。ちなみにこのジェファーソン、建築家でもあり鉄道網を整備したりとかなり多様な才能の持ち主だった)

カスカディアや、シンガポールで構想されているスーパー農業都市などの例は、食の未来を考えることはすなわち都市のあり方にもそして国家のあり方にも関係する。

 

さらにニューヨークのハイラインが成功して以降、世界中で使われなくなったインフラを再利用する動きが出てきている。シドニー版ハイラインや、ロンドンでは地下鉄の廃駅をい使う例などを紹介。日本でも日本橋上の首都高の景観が問題にあがることがあるが、例えば一部でも緑化して空中遊歩道のようにしてみてはどうか。

 

そして終盤では、 安全性と国土の話。日本人建築家は昔はグランドビジョンをよく語っていたが最近はあまり語る人がいない。今後は経済が右肩下がりのときにも語る必要があると思う。

 

例えば、太平洋工業ベルトとシルクロードシルクロードでもバックミンスターフラーのダイマクションマップでも日本が端にあって、終わりに位置していた。

かつては文明や文化の終着点であったが、近代化に関しては日本がアジアでは先だった為、今後は日本(東京からの工業ベルトに位置するメガシティ)からアジアへと近代化の波がシルクロードを逆流するという見方ができる。また、上記の工業ベルト(メガシティ)とは別な軸として東京から東北、北海道までの軸も見える。

 

工業ベルトに関しては、右肩上がりの時期に考えられたリニアモーターカーをどうにかして使えないか。東京から福岡までリニアで結び都市化を極限まで押し進めメガシティを作るなど。そして東北から北はメガシティのカウンターとしての街のあり方を考えてもいいかもしれないという提案など。

 

【ざっくりと】

個人的にはビャルケさん目当てで行き、本人のプレゼンを生で聞けたのは良かった。ただ、意外だったのが重松さんのプレゼンだった。唯一、東京、または日本の都市のあり方について批判と提案の両方をしっかり行っていた為、逆に新鮮に感じられた。この国土の計画の話は藤村龍至さんの批判的工学主義にある日本列島改造論2.0にも通じるものがあると思えた。

 

 

あとは重松さんは僕と同じように日本人なのに海外経験がある人、という理由だけで親近感をもてたというのもある。

 

いずれにせよ、2万円払って第一線で都市、建築、テクノロジーの分野で活躍する人達のプレゼンを生で聞けたのは良かった。これを機に改めていくつか建築や都市計画に関する本を読んで見たくなった。