戦う女性経営者。マリメッコの創業者はぶっ飛んでた!映画『ファブリックの女王』
一見、大人しいタイプの人に人気のありそうなブランドのマリメッコ。でも創業者のアルミ・ラティアはかなりぶっ飛んだ革新者でした。この映画ではアルミ・ ラティアが一人の女性として、世の中の常識と、男社会と、経営者と、 そして家族とも戦いながら会社を作り上げた物語を解説します。
生地屋、マリメッコ
舞台は1950年代フィンランド。
のはずですが、この映画は変わった手法で撮られていまして、 劇中劇になっております。というものも、 アルミを演じる役者やその他の役者がカメラの前で演技をしている のですが、何の前触れもなく、演技を止め、 演出家と台本の確認をしたりします。
演技を止め、台本を読む演出家とアルミの人物像について話すシーン。
「アルミはこの時何を考えてたのかしら」
「どういった演技をすれば彼女の考えを現代に表現できるかしら」 等と、
話をしたかと思いきや、すぐにまた演技が始まります。
この手法をとった理由について監督は、「ムダのないミニマルなこの映画の描き方は、予算の問題だけでなく、アルミの実像に迫るのに上手く作用したと思っている」
と言っています。 さて、そんなマリメッコですが、具体的に何が革新的だったのか。 映画内でも描かれていますが、 1951年に最初のファッションショーを開きます。 生地屋さんがです。大事な事なのでもう一度言いますが、 マリメッコは創業当時は「生地屋」さんでした。
オートクチュールの時代
当時、すでにパリではファッションショーはありましたが、 老舗メーカーのオートクチュール(オーダーメイド) のショーが主流でした。 本当に裕福な上流の人達に向けた物ですね。2016年の4月にはこんな展覧会もありましたね。
パリ・オートクチュール
世界に一つだけの服
〜芸術は、着れる〜
しかし、マリメッコは生地から始まりました。生地の評価は高いが、買う人がいない。
では、生地の素晴らしさを伝える為に洋服にして見せてみよう。 という発想で全財産をつぎ込み、ファッションショーを開きました。このショーは大成功に終わりました。
舞台裏にお客さんが大勢押し寄せ、「どこで買えるの?」「 今ここで買えないの?」等と高揚した人ばかり。 しかしこの時点ではまだ小売店をどこに出すか決めていなかったそ うです。計画的、ではないですが、やったもん勝ち、とも捉えられるかもしれないです。
さて、このショーが重要なのですが、
当時パリで流行っていたオートクチュールはオーダーメイド。アルミの行ったショーは、メーカーが服を予めデザインをし、 それを発表する。そして発表された物を量産し、 店頭に並んだ物をお客さんが買う、という流れ。所謂プレタポルテの先駆けですね。というかマーケティングの天才ですね。これをざっと年表にしてみましょう。
マリメッコの革新性
1951年 マリメッコ、初のファッション・ショー
雑誌の表紙で着用し、大きな話題となる
プレタポルテが本格的に始動。(詳しくはこちらのブログもどうぞ)
同時期にイギリスで登場したモッズの登場も地域間を超えて呼応するカルチャーとして参考になります。
となっております。
こうして名だたるハイブランドと比較してみても、アルミ(マリメッコ)の時代を読む力、消費者の理解、自社の顧客を作り出す、と言ったマーケティングセンスの良さがわかりますね。そしてあまりにも先駆的であった為に、彼女は多くの人と衝突をしてしまいます。この映画は、産みの苦しみと、美の探求をした一人の女性の生き様がしっかりと、現代風にアップデートされて描かれています。本日も最後までご覧いただきありがとうございました。コメントの書き込み、その他SNSでのシェアなどして頂けるととても嬉しいです!それではまた!
2016年、10月からはitunes先行配信され、
12月16日よりDVDが発売されます。クリスマスギフトか、年末見る映画にもいかがですか?
ヨールン・ドンネル監督、2016年公開。