映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【ファッション史6】さらば青春の光とM-51

好きな事を仕事にする、ってなかなか難しいですね。

 
 
お久しぶりです。
前回の更新からだいぶ時間が空いてしまいました。
さて、新作の紹介が続いてましたが今回はド定番のこちらです!

 

さらば青春の光 [DVD]

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1960年代後半のイギリスの若者カルチャーとして後世に大きな影響を与えた「モッズ」。
厳密に言うとこの映画で描かれているのは、初代モッズよりあとの「ネオモッズ」と言われているみたいですが、とりあえずここでは「モッズ」ファッションの解説をします。
 
 
さて、主人公のジミーを始め、「モッズ」達を特徴づける格好を解説しましょう。
 
1)細身の三つボタンスーツを着る。もちろんサイドベンツで
2)通称「モッズコート」と言われるM-51を羽織り
3)Fred Perryのポロシャツを着る時もあり、
4)改造したヴェスパやランブレッタといったイタリア製のバイクを乗り回してました。
 
 
このブログでは特に1)と2)について詳しく見ましょう。
 
1)細身のスーツ
 
 

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スーツは細身であるのと同じく重要なのがVゾーン。 Vゾーンが狭い為、シャツとネクタイの露出が少ないのがお分かりでしょうか。ラペル(ジャケットの襟)も狭く、ネクタイも細身。スーツのベント(背中にある縦の切り込み)もセンターベント(真ん中に一つ)よりはサイドベンツ(左右に一つずつ)を好んだ。
 
 
注)これでラペルもネクタイも太く、Vゾーンも深いとイタリアンなオシャレオヤジテイストになります。
 
デビュー当初はビートルズもこんな格好をしてました。

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Vゾーン、狭いを通りこしてほとんどないですね。

beatlesに関してはロッカーテイストなリーゼントに革ジャン時代もあり、中期から後期にはロン毛にフレアパンツというヒッピーな時代もあるので厳密には「モッズ」ではないですが、この服装は明らかに同時代に流行っていた「モッズ」を意識していたでしょう。

 

 

2) モッズコート=M-51

カーキのコートはざっくりとモッズコートと呼ばれていますが、

基本的にはこの映画の中でも「モッズ」達が着ていたのはM-51というタイプのコートです。

 

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M51 (モッズコート) - Wikipedia

 
1951年にアメリカ軍の野戦用のコートとして採用されたからM-51と言われています。
似たようなものにM-65やN-3Bもありますが、「モッズ」はM-51を着てました。踊る大捜査線の青島もこれを着てますね。
 
MだかNだかわかりにくいですがとりあえず、
 
 
「第二次世界対戦以降のコート」というポイントがあります。
 
 
ようするに、トレンチコート、ダッフルコート、ピーコートといったイギリス軍由来のコートや、バルマカーンコート(ステンカラー)やチェスターコートなどといった伝統的なフォーマルなコートではダメなんです。もちろん、ロッカー達が愛用していたレザージャケットも違います。
 
 
ここに、「モッズ」の名前の由来があります。
 
「モッズ」は、上記の古い保守的なコートを着る「保守的」な人達に対抗して、
「モダン」な音楽を聞き(The WhoやKinks、もっとコアな人達はレゲエやダブ)、
「モダン」なコート(M-51)を羽織り、
 
ゴリマッチョなハーレーではなく、
「モダン」なヴェスパやランブレッタを乗り回す。
 
上の世代と比べて僕たちはより洗練されていて現代的だ。
We are Modern→We are the Mods
 
と呼ぶようになったのです。
 
 
さて、このモッズファッションは現代でも脈々を受け継がれています。
日本で大人気のPaul SmithもルーツはModsですね。
 
 
あとは、

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これ。

 

このバンドも(Bawdies)、

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注)これはVゾーン深いですが
 
 
 
現代の日本でも使われる「モッズ風」のルーツはこの映画に描かれている「モッズ」ファッションになります。
さて、この映画で主人公ジミーは青春とさらばしたのかどうかわかりませんが、
60年代も終わり70年代になるとヒッピー達が登場します。
そして「モッズ」の系統は同じイギリスで別のカルチャーへと引き継がれます。
 
怒れる若者達は、よりディープなレゲエやダブを聞き、髪をモヒカン、またはスキンヘッドにし、細身のデニムにドクターマーチンやジョージコックスを履く、「パンク」として登場します。
 
 
という事で、僕はまだ青春の光を追っかけますが、今宵はここでおさらばします!
それではまた!