元パリコレブランド➡︎広告営業マンの「勝手に考察」

日系パリコレブランドにて販売・MD・バイイング等多岐にわたる業務を経験。現在は外資系広告代理店の営業マン。そんな僕がポップカルチャーからビジネスまで、気になった事を「勝手に考察」するブログ。

ポール・スミスも?今更聞けない、モッズって何?『さらば青春の光』

本国よりも日本の方が売れていると言われる英国ファッション・ブランド、ポールスミス。現代版のモッズ、ポール・スミスは不良のイメージとはかけ離れてますが、実はモッズの起源って意外とぶっ飛んでたんです。今回はそんなモッズについて解説します!

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1960年代後半のイギリスの若者カルチャーとして後世に大きな影響を与えた「モッズ」。
厳密に言うとこの映画で描かれているのは、初代モッズよりあとの「ネオモッズ」と言われているみたいですが、とりあえずここでは「モッズ」ファッションの解説をします。
さて、主人公のジミーを始め、「モッズ」達を特徴づける格好を解説しましょう。 
1)細身の三つボタンスーツを着る。もちろんサイドベンツで
2)通称「モッズコート」と言われるM-51を羽織り
3)フレッド・ペリーのポロシャツを着る時もあり、
4)改造したヴェスパやランブレッタといったイタリア製のバイクを乗り回してました。
このブログでは特に1)と2)について詳しく見ましょう。

細身のスーツ

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スーツは細身であるのと同じく重要なのがVゾーン。 Vゾーンが狭い為、シャツとネクタイの露出が少ないのがお分かりでしょうか。ラペル(ジャケットの襟)も狭く、ネクタイも細身。スーツのベント(背中にある縦の切り込み)もセンターベント(真ん中に一つ)よりはサイドベンツ(左右に一つずつ)を好んだ。
注)これでラペルもネクタイも太く、Vゾーンも深いとイタリアンなオシャレオヤジテイストになります。 デビュー当初はビートルズもこんな格好をしてました。

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Vゾーン、狭いを通りこしてほとんどないですね。ビートルズに関してはロッカーテイストなリーゼントに革ジャン時代もあり、中期から後期にはロン毛にフレアパンツというヒッピーな時代もあるので厳密には「モッズ」ではないですが、この服装は明らかに同時代に流行っていた「モッズ」を意識していたでしょう。

モッズコート=M-51

カーキのコートはざっくりとモッズコートと呼ばれていますが、基本的にはこの映画の中でも「モッズ」達が着ていたのはM-51というタイプのコートです。

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M51 (モッズコート) - Wikipedia

1951年にアメリカ軍の野戦用のコートとして採用されたからM-51と言われています。
似たようなものにM-65やN-3Bもありますが、「モッズ」はM-51を着てました。
踊る大捜査線の青島もこれを着てますね。MだかNだかわかりにくいですがとりあえず、「第二次世界対戦以降のコート」というポイントがあります。 
ようするに、トレンチコート、ダッフルコート、ピーコートといったイギリス軍由来のコートや、バルマカーンコート(ステンカラー)やチェスターコートなどといった伝統的なフォーマルなコートではダメなんです。もちろん、ロッカー達が愛用していたレザージャケットも違います。
ここに、「モッズ」の名前の由来があります。「モッズ」は、上記の古い保守的なコートを着る「保守的」な人達に対抗して、「モダン」な音楽を聞き(ザ・フーキンクス、もっとコアな人達はレゲエやダブ)、「モダン」なコート(M-51)を羽織り、 ゴリマッチョなハーレーではなく、「モダン」なヴェスパやランブレッタを乗り回す。古い世代と比べて僕たちはより洗練されていて現代的だ。We are Modern→We are the Modsと呼ぶようになったのです。
ちなみに同時期に様々な形で旧世代に対するカウンター勢力が登場します。
ファッション界ではモッズの他にも、この2人のデザイナーが業界の変化にうまく適応した革新者として歴史に名を残していますね。旧世代に対してのカウンターをスタイルだけでなく、店舗の出店地域としても表明していったサン・ローラン。

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プレタポルテの先駆けとなったマリメッコも。創業者は社会と戦う女性でした。

現代のモッズ  

さて、このモッズファッションは現代でも脈々を受け継がれています。
日本で大人気のポール・スミスもルーツはモッズですね。あとは、

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これ。このバンドも(Bawdies)、

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注)これはVゾーン深いですが

現代の日本でも使われる「モッズ風」のルーツはこの映画に描かれている「モッズ」ファッションになります。さて、この映画で主人公ジミーは青春とさらばしたのかどうかわかりませんが、60年代も終わり70年代になるとヒッピー達が登場します。そして「モッズ」の系統は同じイギリスで別のカルチャーへと引き継がれます。怒れる若者達は、よりディープなレゲエやダブを聞き、髪をモヒカン、またはスキンヘッドにし、細身のデニムにドクターマーチンやジョージコックスを履く、「パンク」として登場します。あ、ちなみに同じ60年代が舞台でスーツの着こなしがお洒落な映画、『シングル・マン』と比較しても面白いですね。『シングル・マン』はアメリカが舞台でおじさんが主役ですが、スーツといえどもこんなにも豊かな歴史があるのだなぁとしみじみ思うでしょう。

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 という事で、僕はまだ青春の光を追っかけます。本日も最後までご覧いただきありがとうございました。コメントの書き込み、その他SNSでのシェアなどして頂けるととても嬉しいです!それではまた!それではまた!