映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【ファッション史3】サンローラン

師走ですね。

洋服屋が紹介する映画、第3弾は直球でファッションデザイナーの映画を紹介します。
 
2015年公開、サン・ローラン
 
 
この映画はたくさんの物が詰まっていますが、その前に簡単にファッション業界の歴史を振り返りましょう。
 
ファッション業界の中心
【20世紀前半の場合ーオートクチュール
シャネル、ディオールバレンシアガなどが活躍。顧客に合わせて服を作る。多くのブランドがパリ右岸に店を構えた。
 
【20世紀後半の場合ープレタポルテ
上記に加えサンローランやクレージュ登場。ファッション雑誌や広告などが普及し、シーズン毎に新しいデザインを考案するという仕組みが確立。サンローランはパリ左岸(リヴ・ゴーシュ)に最初の店を構えた。
 
 
 
 
さて、本題に入りましょう。
この映画で描かれている時代は1960年代から1970年代のことです。
この約10年の間にサンローランは後世に残る素晴らしいルックを提案しましたが、その中でも僕が面白いと思った物を2つご紹介。
 
・スモーキングジャケット(タキシード)

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ドイツ出身の写真家、ヘルムートニュートン撮影によるこのルックは今見てもかっこいい佇まい。
映画の中ではこの写真の撮影をする現場が描かれています。
 
 
当時、女性がスーツ・パンツ(または男性服)を「おしゃれ」として着るというのはかなり衝撃だったでしょう。
それもこれがオートクチュールではなくて、「これこそが新しい美しさだ!」とある意味世の中に訴えるプレタポルテで提案されています。
 
シャネルもスーツスタイルを提案していましたが、サンローランはプレタポルテで、メディアを通してこのスタイルを提案、そして確立した、というのが特筆すべき点だと思います。
 
 
 
・バレエリュス
 

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映画のクライマックスを飾る1976-77年秋冬コレクション。
極度のプレッシャーの中、お酒と薬物にはまり、堕落したサンローランは入院をしてしまいます。
その入院生活から復帰後の最初のコレクションです。
 
上記のスモーキングが、都会的で、男性的、ある種無機質なスタイルであるのに対して、このコレクションは一貫してロシアのバレエ団の衣装に見られるようなエスニック(民族的)なスタイルがベースにあります。
 
ロシア、インド、モロッコなどの民族衣装のディテールを取り入れながらも、スカートとコートは共にボリュームのあるシルエットにすることで統一感がでますね。
 
 
 
 
 
2種類のある種真逆なスタイルを紹介しました。これ以外にも様々な新しいデザインを作り出してきたサンローランは、「女性の味方」「女性の美しさを変えた」と言われています。顧客の要望に応える(オートクチュール)だけでなく、顧客、いや、もっと言えば世の中が想像もしていなかった新たなスタイルを打ち出し続けた(プレタポルテ)、というのがサンローランがモードの帝王と言われる所以でしょうね。
 
 
 
 
さて、この映画は人間関係のドロドロや(性描写多め)、プレタポルテオートクチュールを両立する難しさ、ライセンシングやフランチャイズをめぐる経営陣の攻防なども含めたドロドロも描いていてとても興味深いです。
ライセンシングって何?と思った方は今年報道された国内アパレルの一大ニュースをご覧ください。
 
 
 
 
 
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