【建築9】走れザハ・ハディド
ザハは激怒した。
何故私の建物は建てられないのか。
必ずや建てて見せる。
イラクの進歩的な家庭に生まれ、英国で建築を学んだ建築家ザハ・ハディドはアンビルトの女王との異名を持っていた。初の実作は自身が40歳代に入ってからで、それまではコンペで選ばれながらも様々な理由で建設にまでは至らなかった。(激怒したかは定かではありません。)
そんなザハの大規模な展覧会が12/23まで東京のオペラシティーで開催される。
展覧会では模型やCG、またはシューズや食器などのプロダクトの展示もあり様々な視点から彼女の才能を垣間見れるが、個人的にはアンビルト時代や初期のドローイングに圧倒された。
彼女はガラスの破片が散らばったような、またジョルジュ・デ・キリコの絵のような空間と時間のゆがんだようなドローイングを大きなキャンバスに描く。
会場の柔らかい照明に照らされたドローイングや什器は輪郭が少しぼやけ静かに、しかし動的なそして芯のある佇まいをしている。まるでイラクや中東の乾燥地帯の砂嵐の中からうっすらとその姿を表す古代遺跡の建築の様に。