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ブログを初めて早6年。平成生まれ、米国育ちの映画オタク。元パリコレブランド勤務で今はマーケターやってます。

【映画29】アラビアのロレンス

アラビアのロレンスは1961年公開の映画。監督はデビッド・リーン。

 

 

第一次世界大戦で実際におこった、アラブの反乱を元に作られた映画。

当時はオスマントルコ帝国がドイツと手を組んでいて、イギリスやフランスなどが対抗。その中でイギリスは中東での覇権を広める為に、オスマン帝国に支配されていたアラブ諸民族を支援し、独立(オスマン帝国に対しての反乱、もしくは革命)をさせようとしていた。

今でも収まる気配の無い中東の紛争の原因の一つとなったこの事件の中心人物の一人、T.E. Lawerenceが書いた自伝「知恵の七柱」などを元に作られてる。

 

ロレンスはイギリスの軍人でありながら、数カ国語に堪能でコーランをはじめとするアラブ文化にも精通していた。そんな人間がアラブの部族をまとめアラブの解放?を手助けするという話。

 

 

約3時間もあるこの映画はほとんどが砂漠をさまようシーン。地平線とそこに沈む太陽、夜になると見える広大な空、全ての生命を否定するかのような灼熱の日中などととにかくこの砂漠の描写に力が入っている。

 

この映画では雄大な砂漠の描写と対をなすように描かれるロレンスの心理がまた凄まじい。英雄のような人物でありながら、はっきり言ってしまえば人格が崩壊しているロレンス。そのロレンスの心の揺らぎは砂漠に見える蜃気楼の揺らぎと重なる。

 

この映画は同性愛的描写があるけど、公開当時の点に気づいた人はあまりいなかったみたい。当時はそれほど認知されていなかったからなのかな。映画評論家の町山智浩は時限爆弾という表現をしているけど、名作には時を越えて初めて理解される部分があるんだなーと感銘を受けた。