【本3】西洋音楽史
西洋音楽史のレビュー。岡田暁夫著
海の都の物語を読むきっかけになった本でもあります。
http://michischili.hatenablog.com/entry/2013/10/03/193620
記録することが可能になり、芸術として認められるようになった音楽を「クラシック」と呼び、そのクラシックの歴史を人物像や社会背景などを交えて語る名著。
岡田さんはこの本では客観的になるのではなく、むしろ自分の言葉で語りきってしまうことを心がけた、と言っています。
通常歴史では実際におこった事実を振り返り客観性を重視した語りになってしまいますが、この本ではそれを避けています。
結局は歴史の勝者が語るものが「歴史」となるので必然的にそこには語る者の主観も入ってきますよね。でもそれでいいと思うんです。
なぜならある意味で主観的であるモノは「編集」された、もっと言ってしまえば「デザイン」されたモノだと思うんです。切り口がなければむしろ歴史は語れず、切り口がなければそもそも歴史を語る意味すらない、とも思います。
もちろん主観的であるが故に偏見に満ちあふれたでたらめな歴史がいいとは思いません。
なんか歴史についてもっと深く考察したらそれだけでたくさん記事がかけそうですね。
個人的には、この本では「クラッシック音楽」の定義から始まり、その定義もとてもわかりやすく、それ以降の歴史の記述が小説を読むかのような楽しさを味わいました。
クラシックは、
・記録され、「芸術」としてみられていた音楽
・世界最強の民族音楽
・イタリア、フランス、ドイツの三つ巴の歴史
伊仏のチャラい音楽 v.s. 独の荘厳で時代を超越する音楽という見方から見れるように音楽で後進の独がコンプレックスを持っていた話
・王や貴族をたたえるものから市民のための音楽に変わっていった
といった定義がとてもわかりやすかったです。
映画や、小説などでどのようにクラシックが語られ、使われているかなどもわかるので僕のように全くクラシックの基礎知識がない人にはこれ以上におすすめできるクラッシック入門本はないかと思います。
むしろこの本の評価を見ると、この本は入門本を超えてむしろ「古典」としての、西洋文化史の「クラシック」な本になるんじゃないかと思ったりもしました。