【映画とファッション】マックィーンとキューブリック
最初の記事から飛ばしていきますが尻窄みにならぬよう努力しますので、暖かく見守っていただければ幸いです。
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アレキサンダーマックイーンの2007ssのファッションショーがとても好きだ。ランウェーショーは青白く光った大きなシャンデリアがゆっくりとステージ上に持ち上がるところから始まる。
Alexander McQueen S/S RTW 2007, Sarabande ...
ステージ上で楽器隊がヘンデルのサラバンドを演奏している横を無表情なモデルが歩く。豪華で美しい服を纏ってヨーロッパの宮殿の生活のワンシーンの様にも見える。ただし、モデル達は当時のダンスミュージックと言われるサラバンドは一切無視して眈々と歩き回る。終盤に差し掛かって演奏がより激しく、現代のミニマルミュージックのようなアレンジに徐々に変わっていても全く無視。とにかくこのギャップが面白い。
このショーでサラバンドが頭から離れなくなって少しネットを調べるとスタンリーキューブリックのバリーリンドンという映画でも同曲が使われていることがわかったので早速見た。
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公開は1975年。
18世紀の西ヨーロッパの上流社会を舞台にした映画で3時間近くあるんですが、とにかく無駄がない。キューブリック作品をまともにみたのは初めてですがカメラマン出身とだけあってとにかく映像がきれいです。18世紀当時は電気はなかったので、実際の撮影でもロウソクの光だけを使って室内で撮影をしたそうです。そのために特殊なレンズを探したというエピソードも有名だとか。
衣装も食事も、細かい家具もすべてにおいて当時の空気が感じられます。
宮廷の中のシーンとか一時停止をするときれいな油絵に見えます。
やはり神は細部に宿るんですね。キューブリック、さすが完璧主義者。
それでこの映画にもサラバンドがよく使われるんです。マックィーンのショーよりより重い演奏で。この演奏では主人公が力で上流社会にのし上がっていく強さってのを感じます。
ただ、同時に上流社会というのがもろく、産業革命以降衰退していくのがわかっているので刹那的でもあります。その堕落的なところにも何か美しさみたいなものを感じてしまいます。
ところで人はなんで堕落的なものに魅了されるのでしょう?
答えが出るまでまたいろんなものに触れてみます。