音楽だけじゃない!『ラ・ラ・ランド』は開襟シャツとスペクテイター・シューズも魅力的!
はじめに
映画『ララランド』のファッションについて。前編は映画の色使いについてでしたが、後編はライアン・ ゴズリング演じる、セブ役の服装について解説します!
まず、このセブのシャツを見てみましょう。開襟(またはオープンカラーと呼びます) のシャツを普段から着て、髪をキチッと固めるスタイル、 カッコいいですね。実はこういうスタイル、 メンズファッション誌Popeyeの4月号でも紹介されてます。
そもそも開襟シャツとは?
まず開襟シャツの特徴は、 名前の通り襟が開いてる点があげられます。襟が開くだけでなく、 襟が倒れた状態になりますね。当然ですが、ネクタイを締めるのには適していません。
開襟シャツのもう1つの特徴ですが、
開襟シャツ
シャツの起源
本来、シャツはパンツの中にしまう設定で裾が長く作られています。
シャツは元々ヨーロッパの貴族が着る肌着でした。
17世紀のヨーロッパの男性貴族の肌着(シャツの原型)
日本人ではあまり見かけないですが、未だに欧米の人はシャツを直接素肌に着る人、多いです。
なので、欧米の上流階級の人はスーツを脱いでシャツ1枚になることはあまりないです。
本来、シャツの上にはベストを着て、その上に上着を着るという決まりがあります。
(ベスト:ヴェスト→ウェーイスト・コートwaist coatが転じた、という説もあり。)
これはダブル仕立てのウエスト・コートですね。
上着+ベスト+シャツの組み合わせは、重たいだけでなく、夏には暑くて着れないですよね。
こうして、メンズファッションはベストを簡略化し(あえて今でもベストをきちんと着る人もいますが)、シャツも肌着要素が減り、今に至ります。
開襟シャツは、こういったシャツの進化系の一種ですね。
ボーリングシャツやアロハシャツは最も有名な部類の開襟シャツに 入ります。
スペクテイター・シューズ〜または、コンビ・シューズ〜
『ララランド』のファッション、続けて足元も見て見ましょう。
最初のパーティーのあと、 2人がタップダンスをするシーンがありますがわざわざミアはヒールから別の靴に履き替えてますね。 これ、タップダンス用のタップシューズなんですが、 セブは履き替えていません。ミュージカルとしては、タップシューズに履き替えさせて踊るというのはアリですが、タップシューズは普段履きはしないのですね。セブが履いてるのはスペクテイターシューズです。
コンビシューズ、ツートンシューズとも言われますが、2色使いの靴の起源はスペクテイターシューズと言われています 。 スペクテイター(spectator)とは、 観戦者という意味がありますが、これ、 元々はスポーツや競馬を観戦する人が履いてたんです。1920年代頃、欧米の貴族や上流階級の人達はスポーツ観戦や競馬を見に行く際に適したお洒落をしました。競技場や競馬場は当時は重要な社交の場だったようです。まだまだスニーカーなんてない時代、 少しでも革靴をスポーティに見せる為、2色使いにしよう、 と生まれたのがこの靴です。
ジャズ・ファッション〜フランク・シナトラの場合〜
さて、 開襟シャツにスペクテイターシューズというちょっと一癖ある服を着てるセブ。
忘れてはならないのが、彼はジャズミュージシャンとういうこと。しかも頑固者として描かれていて、 ジャズ全盛期の頃が好きで好きで仕方ない人として描かれてる。実はこの組み合わせ、1940年代〜1950年代のビバップからモードジャズなどがジャズ全盛期の頃の服装なんです。
フランク・シナトラ-1943年の写真
ジャズ歌手、ミュージカル俳優、そして当時のアメリカを代表する大スターにしてアイドル、フランク・シナトラの写真です。セブが崇拝してる部類のジャズミュージシャンではないですが、開襟シャツと、靴もうっすらとですが、2色使いになってる写真をみつけました。とういうことで、前編後編に分けてお送りした『ララランド』特集、いかがでしたか?色々な意見があるラ・ラ・ランドですが、僕は楽しめました。舞台ミュージカルの映画化や、ディズニー映画ではない、オリジナル作品なのに世界中で大ヒットを連発。しかも製作は、ワーナーや20世紀フォックスなどのハリウッド6と呼