一流の映画は、衣装も一流だった。『8 1/2』で学ぶスーツスタイル
一流の映画は、衣装も(スーツの着こなしも)一流だった。体型にあったサイズ、細すぎずダボダボしすぎないシルエットに、黒縁メガネや、サングラスなどの最低限の小物。今ではお洒落なスーツスタイルに欠かせない上記の着こなしポイントも、ルーツを辿っていくと実はこの映画が起源ではないかと思えるのです。
8 1/2の衣装
『8 1/2』フェデリコ・フェリーニ監督、1963年公開。
黒スーツと題して2つの映画を紹介してきましたが、 いよいよ真打ち登場。
フェリーニは言わずと知れた、
巨匠と言われ、 フェリーニの映画は後世に大きな影響を与えましたね。
その中でもこの8 1/2は映画史に残る傑作、とも言われてます。
グイド(マルチェロ・マストロヤンニ)のスーツ
主人公、グイドは売れっ子映画監督。 SF大作の製作を控えてますが、一向にアイディアが固まらない。 心身ともに疲れきったグイドは温泉地で休養をしながら映画の構想 を練ろうとします。しかし、彼を追いかけるプロデューサー、 俳優、愛人、奥さん、神父などと、 多くの人が温泉地まで詰めかけ大騒ぎに。 周りの意見に振り回され、グイドは現実逃避(妄想)を始めます。この映画は、現実の世界と、 妄想の世界がカオスに入り混じる具合がとても面白く描かれてます 。更に、これは映画監督であるフェリーニ自身の話でもあるんです。 次回作の案が浮かばず、取り巻きがうるさい。 俺はどうすれば良いんだ?何がしたいんだ?まてよ、いっそのこと、 この苦悩その物を映画にしてしまえば良いじゃないか!そうして、映画史に残る古典として8 1/2はできたのです。さて、それではグイドの格好を見てみましょう。
モテそうなオジさんですねえ。この人が被ればサングラスもサマになります。
マルチェロ・マストロヤンニとコリン・ファース
この顔、ちょっと似てません?スーツ特集の第一弾で紹介した映画、 シングルマンの主役の教授に。
スーツ特集での共通点を挙げると、
•サイズ感
•シルエット
•少しの小物
の3つのポイントにまとまる、と思います。
自分の体型にあったサイズ、細すぎず、かつ、ダボダボしすぎないシルエット、そして、黒縁メガネや、サングラスなどの最低限の小物。
洋服において、色や素材ももちろん重要ですが、この3つに気をつ けるだけで、とても綺麗な着こなしが完成する、 とても良い例だと思います。
フェリーニの影響
恐らくシングルマンを撮ったトム・フォードは、この8 1/2のスタイリングに影響を受けてると思います。いや、むしろこの映画、 当時のアカデミー賞衣装賞も受賞してますが、 映画史に残る傑作と言われるだけあって、 様々なジャンルのクリエイターに多かれ少なかれ何かしら影響を与えてます。
もっと言うと、現代の僕達が思いつく事は大体既に先人がやり尽くしたアイディアである事が多い、と謙虚な気持ちになりますね。 さて、スーツ特集いかがでしたか?これを機会に是非、 フェリーニやその他の映画もご覧になってみて下さい!
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