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ブログを初めて早6年。平成生まれ、米国育ちの映画オタク。元パリコレブランド勤務で今はマーケターやってます。

ズートスーツって何!?映画『マルコムX』で学ぶチンピラスーツ

【ズート・スーツ】1940年代にアフリカン・アメリカン系ミュージシャンや、マフィアなどの服装としてよく見られたズート・スーツ。キング牧師と並ぶ有名な解放指導者マルコムXは、実は若い頃はズート・スーツを着るようなチンピラでした。今回は映画『マルコムX』を元にズート・スーツの解説をします。

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ズート・スーツ

さて、マルコムXはきちんとしたスーツに身を包み、メガネをかけているインテリのようなイメージが強いですね。しかし、若い頃はやんちゃでした。やんちゃを通り越えてチンピラでした。その頃の服装がこれ。

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またはこれ。

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ちょっと暗くて2枚目はわかりにくいですが、解説をしましょう。

1940年代にアフリカ系アメリカ人のミュージシャンや、マフィアなどの服装としてよく見られたズートスーツ。

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特徴としては、

・極端につばの長いハット

・極端に太いラペル(襟)

・極端に長いジャケット

・極端に太く、ハイウェストなパンツ

・極端な色、または柄使い

となります。

とにかく全てが極端ですね。

ヨウジ・ヤマモトとズート・スーツ

これ、今そのまま着たら目立ちますが、日本のブランドでこの精神を受け継いでるブランドがありました。

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色や柄は落ち着いてますが、極端なシルエットはまさにズート・スーツですね。以上ヨウジ・ヤマモトの服でした。

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映画、マスクのジムキャリーの服装もズート・スーツ。そしてこちらは2016年10月発売のGRINDという雑誌の表紙。

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 気だるそうな表情に、大きいサイズのジャケット、シャツはインしてハイウェストパンツ、そしてつばは広めです。この手のつばの広いハットは一時期とてつもなく人気がありましたね。僕の職場ではよく見かけましたが、そろそろこの流行りも落ち着くのではないかと思います。

映画に戻りましょう。ズート・スーツが登場する、との情報をキャッチし、いつか観ようと思っていた名作を観れました。名作ですが、良くも悪くも内容がヘビーです。スパイク・リーの描きかた、カメラワークももちろんですが、デンゼル・ワシントンの演技がまたいい。カリスマが宿ってます。服装から入るもよし、作品から入るもよしですが、これは観ておいてよかったです。一般的には、マルコムXキング牧師と比べて過激な発言をしていた、との見方をされますが、実際はどうだったのでしょう?映画は脚色がされていますが、マルコムの人柄と苦悩がとてもよく描かれています。ちなみに、服装とその背景のカルチャーに興味を持ったそこのあなた。このブログでは他にも1910年代の英国マフィアの服装を解説している記事があります。今回のズートスーツと是非見比べてみてください。michischili.hatenablog.com

他にも、スーツと言えども、モッズ・スタイルのスーツはまた全然違う成り立ちと美意識があります。モッズと言えば、日本で大人気、カラフルかつ品のあるポール・スミスのルーツのスタイルとも言えますね。モッズ・スタイルは当時の最先端の不良ファッションだったことがわかる映画『さらば青春の光』などもあります。

michischili.hatenablog.com

スーツといえども、地域、時代、音楽、などとの繋がりなどでこんなにも豊かな歴史があるんだ、と発見があると思います!本日も最後までご覧いただきありがとうございました。コメントの書き込み、その他SNSでのシェアなどして頂けるととても嬉しいです!それではまた!