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映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【ファッション史5】マイ・インターンとクラシック・ファッション

紳士諸君、ハンカチを持ちましょう。

それも自分用のではなく、涙を流す女性のために。
 

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と、臭い台詞から始まりましたが、今回紹介する映画は女性向けに国内ではマーケティングされてるみたいですが、世の男性こそ見るべき映画です。
 
The intern(邦題 マイ・インターン)アン・ハサウェイ演じるベンチャー起業の社長(ジュールズ)と、シニア枠のインターンとして採用されたロバート・デニーロ(ベン)が主役です。
 
このジュールズの会社はファッション系の通販の会社。出来たばかりの会社なのに、思った以上の反響でみるみる社員は増える。ただし、あまりに急に会社が大きくなりすぎた為か、経営はあまり上手くいかずトラブル続出。
 
気難しい女として自他共に認めるジュールズは、社内を自転車で移動したり、分刻みのスケジュールで仕事をしたりと大忙し。そんな中、当初は「社会貢献」の一環として、高齢者限定のインターンを募集したところやってきたのが、ベン。
 
 
 
さて、この映画、ニューヨークのブルックリンを舞台にInstagramやfacebook、twitterなど様々なSNSを取り上げたり、ジュールズの会社の男性はほぼパーカーか、Tシャツの上にシャツを羽織ってボタンを閉めず、パソコンには詳しいがあまり服には興味がなさそうな設定で登場します。
 
今風に言うと、草食男子なんでしょうか?それともノームコアという人達?もしくはサードウェーブ系男子?映画の中でもboysとジュールズに呼ばれてますので、boysにしておきましょう。
そのboysと若いgirls(ladiesももちろんいます)ばかりの会社にビシッとスーツを着、年代物の革の鞄を持って出勤するベンは多くの驚きと、そして少しばかりの軽蔑を持って迎えられます。
 
しかし、さすがベン。(デニーロが演じるから尚、良いんです)
長年の仕事でのキャリア、周りへの気遣い、自然に見える笑顔、毎朝の髭剃りと、そしてハンカチを常に忍ばせているからか、ベンはどんどん周りからも、そしてジュールズにも認められるようになります。
 
 
 
 
 
この映画の中ではクラシックは不滅だ、という台詞が2回ほど出てきました。
クラシックとはなんぞや?と思う方、今回は服その物よりも小物を中心に見ていきましょう。
 
初出勤の際、ベンは鞄から仕事道具を取り出します。ブラウンの時計、カシオの電卓、そしておそらくモレスキンの手帳。確認できたのは以上ですが他にお気付きの方がいらしたらご教示お願いします。
 

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ブラウンの時計はドイツの天才デザイナー、ディーター・ラムスがブラウンにいた頃の物ですね。ディーターラムズはless is moreという思想を持ってミニマルでありながらディーターラムズのデザインと見てすぐわかる美しいプロダクトを数々この世に送り出してきました。これをクラシックと呼ぶにはまだ歴史は浅いかもしれませんが、プロダクトデザインでは十分クラシックでしょう。
スティーブ・ジョブズや後世の多くのデザイナーにも影響を与えたこのデザインは今見ても美しい
 
 
 
仕事道具は他にもありますが、パジャマの話をしましょう。
ベンは出張先のサンフランシスコのホテルに泊まる際にも自前のバスローブとパジャマを持っていくほどパジャマに拘っています。おそらく、このパジャマはターンブル&アッサーの物でしょう。
 

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でなかったとしてもこのブログをお読みの方は知っておいて損は無いとおもいます、何せターンブル&アッサーは紳士服のルーツであるイギリス王室の御用達の老舗メーカーなのですから。(当然毎晩着るパジャマにしては値段がめちゃめちゃ高いです)
 
ホテルの煙探知機の誤報で宿泊客が全員ホテルのバスローブ姿で逃げる中、自前のバスローブとパジャマを着たベンはやはり一味違う魅力を放っています。そしてこのパジャマとバスローブはも今見ても美しいのです。
 
 
そして冒頭に戻りますが、ハンカチを常にもち歩くベンは、「ハンカチは人にあげるものだ」とはっきりと言っています。カッコイイですねえ。粋ですねえ。
 
 
映画でも言われていますが、boysと比べて明らかにベンはgentleman なんです。ジュールズ本人も多分惚れてたんじゃないか、と思いますが、それは置いておきましょう。
 
 
 
クラシック、と聞くと、堅苦しい、つまらん!と僕も昔は思ってました。でも、色々見てきて僕も気付きましたが、パジャマでも、時計でも、鞄でも、そして革靴も、
(男性の場合はスーツその物よりも何よりも、革靴も重要なクラシックなアイテムとして存在します。いつかは靴をテーマにブログを書きたいですね。)
 
長年愛されてきた物は流行り廃りなど関係無い美しさがあり、それがある一時のものでなくなった時、それは定番となるのです。それがクラシックという物なんでしょうね。
 
クラシックな物の良さを分かり(何でもかんでもそれらで身を固めるのが必ずしもカッコ良いとは言いません)、決して自分から口は挟まず、意見を求められた時だけ意見を良い、常に相手を褒める言葉を探し、自分の手柄にしても良い仕事も、必ず共に作業をした同僚を立てる姿勢、そして常に持ち歩くハンカチ、そしてこれらが当たり前のようにできるための年月。これらが揃って初めて紳士になるんですねえ。そういう者に私はなりたい。
 
 
 
と言う僕(現在26歳)も、寝るときはまだスウェットで、年代物の鞄もなく、ハンカチは人にあげられるほど持っていないまだまだペーペーなboysの1人ですが、ちょっとずつ、そしていつかはベン(デニーロ)を目指します。
 
 

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ベンのクローゼット