英国マフィアの激渋ファッション。髪型もイケてるドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』
1910年代、イギリス・バーミンガムを拠点とするアイルランド系マフィアのドラマです。このドラマ、内容ももちろん面白いんですが、髪型もファッションも激渋でイケてるんです。
ツィードと髪型
さて、このドラマの主人公であるトミー・シェルビー(下の写真で右端の人)や主要なキャラクターの多くはキャスケットを被り、ツィードのスリーピースジャケットを着ています。
キャスケットとは前につばがあるふっくらとした帽子。ハンチングよりボリュームがあります。新聞配達をしていた少年達がかぶっていて、ニュースボーイキャップとも言われますね。
そしてスリーピースとは、ジャケットの下にベストを合わせて完成されるスタイルですね。ベストではなく、ウェウストコートというのが正式で、ジャケット、パンツ、ベスト全てが同じ生地であるのが本来のスーツの姿です。さらに、ベルトではなく、サスペンダー(英国では"braces"ブレイシーズと言います)をつけるのが正式です。そして首元には白の丸襟のシャツ。この着こなしが、きちんとしているけど、ちょっと外している、アンチ・ヒーロー像を描くのにぴったり。
髪型もかっこいい。トップ部分は量を残しつつ、サイドはスッキリ。クラシックなテイストのあるツーブロックですね。服装のテイストにしっかりあった髪型です。
左)トーマスの兄、アーサー・シェルビー
右)主役のトーマス・シェルビー
アーサーはオールバックの髪型に対して、トーマスは髪を前に流す髪型。同じツーブロックでも、微妙に違うニュアンスの髪型でキャラ作りをしたのは上手いなぁ。と関心。
イギリス紳士とイタリア・マフィアのスーツ
ちなみに、上記の生地のスーツは当時も今もフォーマルな生地ではありません。上記が労働者の服装を体現していたのに対して、上流〜中流階級の服装は刑事役のキャラクターが着ています。
ボーラーハット(山高帽)を被り、スーツの生地もツィードよりはフランネルのような綺麗な生地に見えますね。こちらのほうが英国ファッションの中でも正当な服装に近いです。さらにこのドラマ、敵対するイタリアンマフィアも登場しますが、イギリスとイタリアのそれぞれの国の服の特徴をきちんと表しています。
フェドラハット(中折れ帽)を被り、色鮮やかに着こなす。フェドラハットといば、イタリアのボルサリーノ社のハットが有名ですが、前述したボーラーハットより柔らかいため、ソフトハットとも言われます。
イギリス・スーツとイタリア・スーツ
ブランドや物によっては違いますが、国別のスーツの特徴をまとめると、イギリスは質実剛健、悪くいえば地味。イタリアのスーツは、軽く、華やか、悪くいえばチャラい。
もちろん本家はイギリスなので、イギリスの服を知っておくのは損ではないでしょう。
とはいえ、このドラマのまんま、洋服を現代日本で来たらコスプレっぽくなりますので、この服装の雰囲気が感じられて、日常でも取り入れられそうなポイントとブランドを紹介して終わります。簡単なのは、何時もの白シャツを丸襟に変えてみる。もちろんネクタイのノットは小さめで。それだけで首回りの印象が変わります。
ブランドで言えば、ポール・ハーンデン
ネメスや、ナイジェル・ケーボーンもピーキー・ブラインダーズっぽいですが、ドラマの男達から感じるストイックさ、近より難さ、そしてジャケットのかっこよさでいえば、やはりポール・ハーンデンではないでしょうか。ポール・ハーンデンは値段的にも近より難いですが、いつかさらっと来こなせるようなおじさんになりたいですね。
ちなみに、スーツやメンズ服のことが気になったそこのあなた。このブログではこれ以外にもスーツが魅力的な映画をたくさんご紹介しています。映画史に燦然と輝く名作のイタリア映画『8 1/2』や、ファッション・デザイナー自ら監督をした映画『シングル・マン』はクラシック、かつ品のある大人なスーツスタイルが魅力的。
一方、もっとスーツを崩したやんちゃスタイルといば、ヨウジヤマモトにも引き継がれている極端なサイズ感のズート・スーツが見れる映画『マルコムX』や、日本で大人気、カラフルかつ品のあるポール・スミスのルーツとなったモッズ・スタイルは当時の最先端の不良ファッションだったことがわかる映画『さらば青春の光』などもあります。
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スーツといえどもいろんな地域や時代、音楽との繋がりなどでこんなにも豊かな歴史があるんだ、と発見があると思います!本日も最後までご覧いただきありがとうございました。コメントの書き込み、その他SNSでのシェアなどして頂けるととても嬉しいです!それではまた!