映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【映画35】ライフ・アクアティック〜ビル・マーレイと温水洋一?〜


Life Aquatic trailer - YouTube

 

2004年公開。監督はウェス・アンダーソン

 

 【あらすじ】

ビル・マーレイ演じる海洋冒険家・ドキュメンタリー映画監督のスティーブ・ズィスー。数々の名作を送り出し、子供達の憧れの的であった彼はスランプに陥っていた。

もう自分には才能が無いのか。もうやめるべきか。

 

最新作のドキュメンタリーの撮影中に親友であり自身の右腕でもあった仲間が正体不明の海洋生物に襲われ亡くなってしまった。ズィスーはこの生物は新種のサメだと主張。

しかしこの生物は映像に納められず、ぐだぐだ感満載の最新作に、試写会も葬式ムード。

 

雪辱を果たす為、人生最後になるかもしれない冒険に出ることを決めたズィスー。しかし、人にもお金にも愛想を尽かれてしまっているズィスーは、長年連れ添ったチーム・ズィスーの頭脳にして妻のエレノアとも冷めきってしまい離婚の危機に陥る。

 

歯車が狂い始めながらも冒険に出ようとする直前にズィスーの息子と名乗る人物、ネッド(オーウェン・ウィルソン)が現れる。

 

ズィスーとネッドは本当に親子なのか?

人食いサメは本当にいたのか?

そしてズィスーの映画は成功するのか?

 

冒険は始まったばかりだ。 

ライフ・アクアティック [DVD]

ライフ・アクアティック [DVD]

 

 

【感想】

またしてもウェス・アンダーソンがやってくれました。

絵本のような、童話のような、血湧き肉踊らない海洋冒険物語。

 

何本かこの監督の映画をみて気づいたこと。

①今回の船、最新作のホテル、ダージリン急行の電車、など。

一つの映画につき、一つ大きな場所が定められている場合が多い。

 

②だいたいダメダメな大人(特に父親)が主要な人物として登場。子供達の成長によって大人がしっかりし、父親が父親らしくなる。

 

③アナログな手法で撮影/編集をすることで、わざと「フィクション」感を出す。

ドーリー撮影や、映画のセットをセットであるとあえて強調するような色彩を使い、エキストラから主役まで服装にこだわる。

 ーーーーーーーーーーーーーーーー 

①については、場所が決まっているほうがセット作りや撮影が楽なのかもしれない。見る側としては、その場所にまつわるエピソードと映画を重ねてみれるからリアリティが増す。(今回の映画であれば巨大な生物に襲われるなど)②については監督が子供の頃に両親が離婚をしたのが原因だそうだ。一貫してこの監督は映画の中に立派な父親を探し描き続けている。③については、①と繋がることだが、フィクション感を強調した、キャラクター同士のやり取りが中心の脚本になる。しかし、だからこそ様々な解釈が可能なコンテンツとして成り立つのだと思う。脇役を主人公にしてスピンオフ作品を作れそうなキャラクターがたくさんいるこの監督の映画。

 

と、この映画の感想から少しずれてしまった。

 

だめだめで、疲れた中年を演じさせたら誰も勝てないビル・マーレイが本当にイイ味をだしている。(いや、日本にも温水洋一がいるか。エドワード・ノートンもいい味だすか)とにかく、最後までこのおっさんの演技から目が離せない。

そしてケイト・ブランシェットは妊娠中の雑誌記者として登場するけれど、妊婦で仕事人なのにとても色っぽい女を演じてるのがイイ。こんなこと言ったらどん引きされるかも知れないが、まぁ見たら意味わかります。

所々に挿入されるボサノバ風の弾き語りが、演劇のように場面が変わるのを強調し、同時に観客と物語を繋ぐ。