映画とドラマとファッションと

ブログを初めて早6年。平成生まれ、米国育ちの映画オタク。元パリコレブランド勤務で今はマーケターやってます。

【映画10】地獄に堕ちた勇者ども

ルキノヴィスコンティというイタリアの名門貴族の末裔の監督による1930年代のドイツの話です。公開は1969年。

この監督は貴族出身で、生きていた時代もまさにこの映画のように西欧貴族社会(映画では貴族ではなくて財閥ですが)が没落していく時期と重なるのでもう話を聞いただけで「もののあはれ」、を味わえる面白い監督ですね。面白いと言ったら語弊があるか。

 

 

地獄に堕ちた勇者ども [DVD]

地獄に堕ちた勇者ども [DVD]

 

 

とりあえず、舞台は20世紀初頭ドイツ。

鉄鋼会社を家族経営していて財力たっぷりの人々がナチスに乗っ取られていく悲惨な話です。身内のどろどろの権力争いをこれでもか、とリアルに描いています。

そうでうすね、この監督はリアルな描き方が得意な気がします。(他の作品も後ほど別記事で紹介します)

 

話も悲惨ですが、音声を消して、字幕も追わず映像だけでも見たとしても悲惨さがつわります。どこかキューブリックにも通じるような完璧主義的な抜けのなさを感じました。時代の空気感、屋敷に漂う権力と憎悪による緊張感、そして次第にこの屋敷だけでなくドイツ全体が暴力によって飲み込まれていく。そういったモノがひしひしと伝わってきます。

 

昼ドラのドロドロじゃ物足りない方こそおすすめです。

 

しかし何でこの邦題なんでしょう?