映画とドラマとファッションと

ブログを初めて早6年。平成生まれ、米国育ちの映画オタク。元パリコレブランド勤務で今はマーケターやってます。

『マイ・インターン』とクラシック・ファッション

はじめに

紳士諸君、ハンカチを持ちましょう。

それも自分用のではなく、涙を流す女性のために。
 

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と、臭い台詞から始まりましたが、今回紹介する映画は国内では女性向けにマーケティングされてるみたいですが、世の男性こそ見るべき映画です。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』のファッション

 

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  今なお音楽界で大きな影響力を持つDr. Dre(ヘッドホンブランド、Beats by Dr. Dreが最近Apple社に買収されましたね)や、映画製作、俳優としも活躍もするラッパーIce Cubeなどが所属していたグループ、N.W.A。1986年にデビューを果たした、このヒップホップグループは色な意味で型破りでした。 

『最も危険な時代が生み出した最も危険なやつら」の服装、気になりますねぇ。服の話をする前に簡単にヒップホップのおさらいをしておきます。

ヒップ・ホップ黎明期ーN.W.A.以前

【1970年代ヒップホップ誕生】

NYの貧困街でヒップホップ誕生。当時はディスコが大ブームでしたが、この貧困街に住むアフリカ系やヒスパニック系の若者達はディスコにいくお金がなく、街角でレコードを流してパーティーをしてました。 

【ヒップホップの4大要素】

【DJ】レコードを二枚以上同時に操り、曲の間奏部分(break)だけを流すとパーティーに来る人達の反応が良くなることを発見したのが、break beatsの始まりで、ここにヒップホップのDJが誕生します。

【MC】DJが流すビートに合わせて韻(rhyme)を踏む詩(lyrics)を、時には即興で作り、ラップをするのがMC。語源はMaster of Ceremony(司会)。ざっくり言うとMC=ラッパーです。

【Break Dance】DJの流すbreak beat に合わせて踊り出した人達をb-boyと呼びます。blackでもbadでもないのでご注意ください。

【Graffiti】落書きです。もちろん違法な物も多くあります。しかし、イーゼルを立て、キャンバスの上に描くという西洋美術とは異なる背景から生まれたこのストリートアートは一部ではありますが今では正当な(そんな物があるのかも怪しいですが一応)アートとして認められています。(古くはバスキア、ヘリングが活躍し、現代ではバンクシーなどもいますね)

さて、上記の4つの要素が70年代からじわじわと文化として広がっていきました。ギャング達の血で血を洗う戦いを終わらせる代わりに、ラップのバトルやグラフィティによる縄張り争いに変わっていったという側面もあります。この頃はまだヒップホップはマイナーな音楽でしたが、多くの若者達のハートを掴んでいました。最初期ではないですが、ヒップホップがメジャーになったきっかけを作ったグループ、RUN DMCの服を見てみましょう。

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Kangolのハットをかぶり、adidasのジャージを着て、superstarを(たまに紐なしで)履く。初期のヒップホップファッションは今多くの人がイメージするダボダボのファッションではなかったのです。stansmithの復刻、そしてsuper starの復刻があり、kangolではなくてもこのタイプのハットがここ数年メンズファッションで人気が出ているのも、元はここなんですね。これが1986年の写真。

ギャングスタ・ラップ、コンプトンからデビュー 

この2年後、1988年に今回の映画の主役のN.W.A.達はデビューアルバムをリリースします。そのNWAの服装を見てみましょう。f:id:michischili:20160101031955p:plain

 

不良ですね。彼らが育ったカリフォルニア州コンプトンは全米で最も治安が悪いと言われてた地域でした。麻薬の売人をやったり、ギャングが銃を持ち込んでスクールバスに乗り込んでくるような日本では考えられない環境の中、彼等は音楽を通して「クリーン」に成功者になろうとします。映画の中にも描かれていますが、ただ仲間同士でだべってるだけで、パトカーがやってきて、突然身体チェックをうけるなど、理不尽な出来事がたくさんありました。そんな彼らは「ギャングスタ・ヒップホップ」と呼ばれていました。さて、このギャングスタヒップホップの服の特徴を幾つかご紹介しましょう。

1)地元のスポーツチームのキャップやジャージを着る

ヒップホップは地元愛が強いのが特徴です。自分の育った街を代表する、という歌詞はラップの中によく出てきます。そしてスポーツの世界もヒップホップの世界と似たように、実力勝負で上の世界へと行ける。同じアフリカ系アメリカ人の多くが活躍しているスポーツと親近感を持ったのも頷けますね。

 2)ダボダボファッション

ヒップホップと言えばダボダボな服装、というイメージがありますね。でもこれには諸説ありまして、

・お金のない親が子供の服を買うときに、大きくなっても着られるように、と大きいサイズを着せた

・ギャング達の仲間内での自分の「悪さ」を誇示するため、刑務所で履かされていたような、脱走しにくい極太のパンツを履く。

3)ゴールドアクセサリー

派手で、ギラギラしているとなお良いこのアクセサリーはヒップホップスラングでは、「bling-bling」と呼ばれてます。これも貧困層出身の若者達が、マイク一本でのし上がって(またはDJのスキル)成功したことを誇示するため、と言われています。 

ヒップホップの今 

いかがでしょうか?NWAデビュー以降は「ギャングスタ・ヒップホップ」が主流として1990年代前半から2000年代前半まで君臨します。そして今のヒップホップのトップに君臨するPharrellKanye Westが出てくることで、ギャングスタ・ヒップホップが一つのジャンル、歴史的区切りとして認識されるようになります。(PharrellやKanyeは全然ギャングではないですし、歌詞も、服装も、そして何よりも「音」が全然違いますね)

長くなってしまいましたが、いかがでしたか?かつて、ロックが尖った若者達の音楽で文化であった時代から、今はヒップホップがある種の尖った新しい音楽・文化を発信している時代である、と見ると色々面白いかもしれませんね。最後にこんな画像でお別れを。http://blog.apparelzoo.com/evolution-of-hip-hop-culture/f:id:michischili:20160101025506p:plain 


12/19(土)公開『ストレイト・アウタ・コンプトン 』予告編

 

 

今作に登場するDr. DreはJimmy Ivoneと組み、Appleによる企業買収で史上最高額となったBeats by Dreを立ち上げたました。そこに行き着くまでのドラマがそのままポップ・カルチャーの歴史、数ページを占めるほどの面白さがあります。ヒップ・ホップ文化の持つ起業家精神アメリカの音楽ビジネスとマーケティングについて学べるので、そのあたりに興味のある方はNetflix制作のドキュメンタリーも是非ご覧ください!

michischili.hatenablog.com

ちなみにヒップホップ誕生物語を描いた、『ゲット・ダウン』というNetflixドラマもあります。『ロミオとジュリエット』や『ムーラン・ルージュ』で有名なバズ・ラーマン監督のドラマです。michischili.hatenablog.com

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モードの帝王。映画『サン・ローラン』で学ぶファッション史

ファッション史に名を轟かせる巨人、イヴ・サンローラン。サンローランの死後、彼の人生を描いた映画はたくさん出ましたが、彼がファッション史(産業も)においてどんな功績を残したかが、とてもよくわかる点で、僕は今作をオススメします。

 
映画の紹介の前に、簡単にファッション業界の歴史を振り返りましょう。

パリの右岸左岸

 
ファッション業界の中心地がパリ、という事に異論はないでしょう。でも実はそのパリの中でも、時代によってメインどころが移ったんです。 
【右岸・戦前10年代〜・オートクチュール
シャネル、ディオールバレンシアガなどが活躍した20世紀前半。
顧客に合わせて服を作るオートクチュールは、ごく一部の上流階級のみに許された特権的なものでした。この頃、多くのブランドは伝統的な街並みのパリ右岸に店を構えました。上の地図で見ると、セーヌ川を挟んで北側の右岸には凱旋門シャンゼリゼオペラ座ルーヴル美術館、そしておしゃれインテリア雑誌などでよく見るアパルトマンといった所謂パリ、の街並みが残ります。(ナポレオン3世とオスマン知事によるパリの大改造の賜物ですね)
【左岸・戦後60年代〜・プレタポルテ
一方、左岸にはガチガチな都市計画の名残はあまりありません。
サン・ローランは自身の名を冠したブランドの最初のお店をこの左岸(フランス語でリヴ・ゴーシュと言います)に構えます。
ちょうどその頃、タブーとされていた膝だしミニスカートを提案したクレージュや、
海の向こうのイギリスではモッズが出てきたり、ショートカットのツィッギーが出てきたりします。若者の風潮としては前の世代に対するカウンターという考えが模索されます。(モッズについて興味がある方は是非こちらの記事もどうぞ)
同時期にファッション雑誌や広告などが普及し、シーズン毎に新しいデザインを考案するという仕組みが確立されます(コレクション)。サン・ローランのプレタポルテの少し前ですが、ほぼ同時期にロシアと国境を隔てたフィンランドからマリメッコというブランドも登場しますね。このブランドは完全にプレタポルテの先駆けとも言えるでしょう。(マリメッコに興味がある方は是非こちらの記事もどうぞ)

スモーキングジャケット(タキシード) 

さて、前置きが長くなってしまいました。
この映画の舞台はちょうどモッズやツィッギーが登場したり、ファッション雑誌と写真技術が一気に普及した1960年代から1970年代のことです。この約10年の間にサンローランは後世に残る素晴らしいルックを提案しましたが、その中でも僕が面白いと思った物を2つご紹介。

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ドイツ出身の写真家、ヘルムート・ニュートン撮影によるこのルックは今見てもかっこいい佇まいですね。映画の中ではこの写真の撮影をする現場が描かれています。当時、女性がスーツ・パンツ(または男性服)を「おしゃれ」として着るというのはかなり衝撃だったでしょう。シャネルもスーツスタイルを提案していましたが、それは顧客の依頼によって作られるオートクチュールの範疇の中。しかも流石にパンツスタイルに髪を撫で付けるいかにも男性的な要素はまだありません。そして当然の事ながら、ファッション雑誌や写真技術もそこまで普及していなかった時代なので、そこまで世の中に対しての影響力というはありませんでした。
一方、サンローランはプレタポルテ(ブランドによる提案)で、メディアを通し、(ファッション雑誌や写真技術の普及)市場に対して新しいスタイル(女性像)を「これぞ新しい美しさだ!」提案し確立したのが革新的ですね。 

バレエ・リュス

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映画のクライマックスを飾る1976-77年秋冬コレクション。極度のプレッシャーの中、お酒と薬物にはまり、堕落したサンローランは入院をしてしまいます。その入院生活から復帰後の最初のコレクションです。上記のスモーキングが、都会的で、男性的、ある種無機質なスタイルであるのに対して、このコレクションは一貫してロシアのバレエ団の衣装に見られるようなエスニック(民族的)なスタイルがベースにあります。ロシア、インド、モロッコなどの民族衣装のディテールを取り入れながらも、スカートとコートは共にボリュームのあるシルエットにすることで統一感がでますね。 
2種類のスタイルを紹介しました。これ以外にも様々な新しいデザインを作り出してきたサンローランですが、ポイントは顧客の要望に応える(オートクチュール)だけでなく、顧客、いや、もっと言えば世の中(市場)が想像もしていなかった新たなスタイルを打ち出し続けた(プレタポルテ)のが彼の功績でしょう。メディアを通して、新しい女性像を提案し、「女性の味方」「女性の美しさを変えた」と言われているのがサン・ローランがモードの帝王と言われる所以でしょうね。
 
さて、この映画は人間関係のドロドロや(性描写多め)、プレタポルテオートクチュールを両立する難しさ、ライセンシングやフランチャイズをめぐる経営陣の攻防なども含めたドロドロも描いていてとても興味深いです。ライセンシングって何?と思った方は今年報道された国内アパレルの一大ニュースをご覧ください。
 
 
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スポーツ・ファッションと言えば、この映画。『ロイヤル・テネンバウムズ』がお洒落!

今回ご紹介する映画は『ロイヤル・テネンバウムズ』 です。 

 

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監督はアメリカ人でありながらも、アメリカよりもヨーロッパや日本で人気のある印象の、ウェス・アンダーソン。この監督、アメリカ南部のテキサスという、カウボーイ的なアメリカン男子が多いイメージの州出身ですがね、本人は全然違うタイプです。今風に言うと草食っぽい。

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コーデュロイや、ベルベットのセットアップをさらっと着こなしてるのがトレードマークです。 

テニス・ファッション 

そんなウェス・アンダーソンが作る映画は作り物感が満載です。もちろんいい意味で。 豊かな色彩、奥域の無い紙芝居の様な独特なカメラワークに、そして何よりもこれから紹介するような個性豊かなキャラクター達がいて、クスッと笑えてどこかジーンとくるアンダーソンワールドは作られています。この映画は、家族仲の悪いテネンバウム 家の物語。天才兄妹3人と学者の母が暮らす屋敷に、元弁護士で家を出て行った放蕩父?が数年振りに戻り、関係を修復しよう、という話。この兄妹の次男、リッチー・テネンバウム のファッションに注目。

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キャメル色のコートがいいですね。 でもヘヤバンドもして、パッと見、危ない人ですねえ。

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サングラスもかけたら尚、怪しい。。  このリッチーは天才テニス少年と持て囃されていたにもかかわらず、突如として引退、そして世界中を船で旅するという一癖あるキャラクターです。さて、この服装、突拍子もない映画用の衣装だと思いきや、こんなものを見つけました。 Vogue Homme 10月号「グランドスラム」 

 

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特集のタイトル通り、テニスに着想を得たのでしょう。(もしからしたらこの映画にも影響受けているかも)そしてこの特集(映画)は今のファッションのトレンドを映し出しているのです!

スポーツ・ミックス・ファッション 

ファッション業界ではここ数年、スポーツテイストを取り入れることが一つのトレンドになっています。ニューバランスのスニーカーブームに火がつき、アディダスによるスタン・スミスの復刻、ナイキによるエアー・マックス、やハラチの復刻などと、スポーツメーカーによるスニーカーブームが大きな波となっていますね。 

スポーツ×ファッションが今注目される理由とは? | Fashionsnap.com

この波は、いわゆるラグジュアリーブランドと呼ばれる高級ブランドにも影響を与えました。セリーヌによる高級スリッポン、ジバンシィやラフ・シモンズによるナイキやアディダスとのコラボレーションも記憶に新しいです。

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 スポーツ・ブランドとデザイナー・ブランド

さて、足元から始まったスポーツブームですが、実際の服にもスポーツ要素を取り入れる動きが出てきています。スポーツウェア独特の発色のいい蛍光色などをふんだんに取り入れるサカイや、このブームが始まる前からナイキとコラボレーションをしたライン(gyakusou)を発表していたアンダー・カバーなどはその筆頭でしょう。

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NIKE x sacaiによるコラボレーション

 別の視点でみると、スポーツテイストを取り入れ、より大きなトレンドである、「リラックス感(抜け感)」を演出できるかどうか、というのがポイントになります。

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キャメルコートにスニーカー、とてもわかりやすい例ですね 。アンダーソン監督本人の服装も、リッチーの服装も、本来であれば比較的フォーマル、またはオジさんっぽい服装ですが、色や素材の組み合わせで見事に抜け感を出しています。こうやって俯瞰すると、映画の服装も怪しすぎず、違和感なく真似できるかも?と思う方、やはりあのヒゲは結構インパクトありますので、流石にそこは真似はしなくてもいいかもですね。昨今流行りのスポーツ・ファッション。ラグジュアリーブランドもこぞってスポーツテイストを取り込んでますが、この映画は遥か昔、2001年の制作。やっぱウェス・アンダーソンはお洒落だわ。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ [DVD]

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英国マフィアの激渋ファッション。髪型もイケてるドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』

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1910年代、イギリス・バーミンガムを拠点とするアイルランド系マフィアのドラマです。このドラマ、内容ももちろん面白いんですが、髪型もファッションも激渋でイケてるんです。

ツィードと髪型 

さて、このドラマの主人公であるトミー・シェルビー(下の写真で右端の人)や主要なキャラクターの多くはキャスケットを被り、ツィードのスリーピースジャケットを着ています。 

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キャスケットとは前につばがあるふっくらとした帽子。ハンチングよりボリュームがあります。新聞配達をしていた少年達がかぶっていて、ニュースボーイキャップとも言われますね。

そしてスリーピースとは、ジャケットの下にベストを合わせて完成されるスタイルですね。ベストではなく、ウェウストコートというのが正式で、ジャケット、パンツ、ベスト全てが同じ生地であるのが本来のスーツの姿です。さらに、ベルトではなく、サスペンダー(英国では"braces"ブレイシーズと言います)をつけるのが正式です。そして首元には白の丸襟のシャツ。この着こなしが、きちんとしているけど、ちょっと外している、アンチ・ヒーロー像を描くのにぴったり。

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髪型もかっこいい。トップ部分は量を残しつつ、サイドはスッキリ。クラシックなテイストのあるツーブロックですね。服装のテイストにしっかりあった髪型です。

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左)トーマスの兄、アーサー・シェルビー

右)主役のトーマス・シェルビー

アーサーはオールバックの髪型に対して、トーマスは髪を前に流す髪型。同じツーブロックでも、微妙に違うニュアンスの髪型でキャラ作りをしたのは上手いなぁ。と関心。 

イギリス紳士とイタリア・マフィアのスーツ

ちなみに、上記の生地のスーツは当時も今もフォーマルな生地ではありません。上記が労働者の服装を体現していたのに対して、上流〜中流階級の服装は刑事役のキャラクターが着ています。

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ボーラーハット(山高帽)を被り、スーツの生地もツィードよりはフランネルのような綺麗な生地に見えますね。こちらのほうが英国ファッションの中でも正当な服装に近いです。さらにこのドラマ、敵対するイタリアンマフィアも登場しますが、イギリスとイタリアのそれぞれの国の服の特徴をきちんと表しています。

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フェドラハット(中折れ帽)を被り、色鮮やかに着こなす。フェドラハットといば、イタリアのボルサリーノ社のハットが有名ですが、前述したボーラーハットより柔らかいため、ソフトハットとも言われます。

イギリス・スーツとイタリア・スーツ 

ブランドや物によっては違いますが、国別のスーツの特徴をまとめると、イギリスは質実剛健、悪くいえば地味。イタリアのスーツは、軽く、華やか、悪くいえばチャラい。

もちろん本家はイギリスなので、イギリスの服を知っておくのは損ではないでしょう。

とはいえ、このドラマのまんま、洋服を現代日本で来たらコスプレっぽくなりますので、この服装の雰囲気が感じられて、日常でも取り入れられそうなポイントとブランドを紹介して終わります。簡単なのは、何時もの白シャツを丸襟に変えてみる。もちろんネクタイのノットは小さめで。それだけで首回りの印象が変わります。

ブランドで言えば、ポール・ハーンデン

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ネメスや、ナイジェル・ケーボーンもピーキー・ブラインダーズっぽいですが、ドラマの男達から感じるストイックさ、近より難さ、そしてジャケットのかっこよさでいえば、やはりポール・ハーンデンではないでしょうか。ポール・ハーンデンは値段的にも近より難いですが、いつかさらっと来こなせるようなおじさんになりたいですね。

 

ちなみに、スーツやメンズ服のことが気になったそこのあなた。このブログではこれ以外にもスーツが魅力的な映画をたくさんご紹介しています。映画史に燦然と輝く名作のイタリア映画『8 1/2』や、ファッション・デザイナー自ら監督をした映画『シングル・マン』はクラシック、かつ品のある大人なスーツスタイルが魅力的。

michischili.hatenablog.com

一方、もっとスーツを崩したやんちゃスタイルといば、ヨウジヤマモトにも引き継がれている極端なサイズ感のズート・スーツが見れる映画『マルコムX』や、日本で大人気、カラフルかつ品のあるポール・スミスのルーツとなったモッズ・スタイルは当時の最先端の不良ファッションだったことがわかる映画『さらば青春の光』などもあります。

michischili.hatenablog.commichischili.hatenablog.com

 スーツといえどもいろんな地域や時代、音楽との繋がりなどでこんなにも豊かな歴史があるんだ、と発見があると思います!本日も最後までご覧いただきありがとうございました。コメントの書き込み、その他SNSでのシェアなどして頂けるととても嬉しいです!それではまた!

眠くなるけど美しい。映画『ストーカー』はナウシカの元ネタにもなった

やっと見れました、ロシア出身の監督タルコフスキーによるストーカー。

1979年の映画ですが、国内ではなかなかレンタルができなかったところに最近やっとDVD化されてツタヤで借りられました。

 

念の為ですが、この「ストーカー」とは、帰り道に自分の後をつけてくる、あの危ない人のストーカーではないです。本来は「獲物を狩るハンター」という意味合いが強かったみたいです。

 

ストーカー 【DVD】

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とりあえず、あらすじから。

【あらすじ】

ある村に隕石が落ちた。その村は焼け、多くの人が犠牲になり政府はその村周辺を立ち入り禁止の「ゾーン」と名付けた。

厳重に警備されたゾーンの中心にはどんな希望でも叶えてくれる「部屋」があるという。そしてその部屋を求めて「ゾーン」に立ち入ろうとする者がいるが、生きて帰ってこれた者はほとんどいないという。

 

物語は、このゾーンの中に精通しているゾーンの道先案内人(「ストーカー」)のもとを「科学者」と「小説家」が訪ね、ゾーン入りをするところから始まる。

 

三人は無事ゾーンに入れるのか。

そして希望の「部屋」に辿りつけられるのか。

ゾーンの正体とは。

 

 

【感想・考察】

まず、この監督の映画は眠くなります。

この監督は惑星ソラリスを最初に見たのですが、そちらもかなり眠くなります。

 

それよりは個人的にはストーカーのほうがよかったです。

(今見直したらソラリスもよく見えるかも)

というかストーカーはかなり好きな映画です。

 

眠くなる理由:

・セリフが少ない

・セリフがあったとしても、抽象的な言葉が多い

長回しが多い(映像をゆっくり、じっくり見せることを重視している)

 

と、手放しに絶賛できないですし、誰にでも勧められる映画ではないです。

でもこの眠くなる要素も含めてこの映画は強烈に印象に残るんです。

 

 

 

で、演出で面白かった点。

 

【演出メモ】

①モノクロで描かれた「現実」世界

物語の冒頭はモノクロにちかいセピア調の色で始まります。

そしてこのセピア調の色合いは現実世界(ゾーンの外側)を描くときに使っています。

そして冒頭ではストーカーの奥さんが怒ってるんですね。

「あんたまたあそこに戻るつもり!?また牢屋に入りたいの?」

「ろくな夫じゃないからろくな子供も生まれないじゃないの」

(娘は足が不自由で喋ることもできないみたいです)

みたいなことをいってかなりくらーい雰囲気でスタート。

そしてこの部分が割と長い。

 

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こんな感じ。

 

でもこの描き方をすることで、この街の匂いや湿っぽさも伝わってくるような効果があるんです。写真家でいうと宮本隆司という廃墟や建築を撮る人に似てる。

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宮本隆司

 

 

 

②「ゾーン」内で一気に花開く色彩

くらーい重い雰囲気でスタートする映画ですが、「ゾーン」内にやっと入ると画面は一変。色彩が一気に花開き!

 

と思いきや、確かに綺麗なんだけど、ゾーンは廃墟と化した村なのでどこか寂しげ。

 

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でもどこかに懐かしさや暖かさが感じられました。

 

さて、冒頭では頼りなさそうな人物として描かれていたストーカー。いざゾーンに入ると急にイキイキし始める。ストーカーにとってはゾーンが「現実」なのかもしれないですね。

 

③不思議な画

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ゾーンの中で「部屋」にたどり着く直前のシーン。

具体的にどんな場所か忘れてしまったけど、この画を見て、とても宮崎駿っぽいと思った。ナウシカ腐海もののけ姫のシシガミの森とか。(もちろん、シシガミの森は屋久島の森がモデルになってるというのは知ってます。)

まぁ過去のインタビューで宮崎さんはタルコフスキーに言及してるので、少なからずこの映画の影響は受けてるのでしょう。

 

 

④ゾーンから帰還した後の「現実」の描き方と娘の変化

と、ここは物語の核心だと思うので見てからのお楽しみに。

 

ーーーーーーーーー

 

SFのような設定だけど、最先端の機械は全く登場せず、(最後のあのシーンだけ特別)むしろ機械や文明が朽ちた世界をタルコフスキーはよく描く。

 これは侘び寂びのような美意識にも通じる気がします。坐禅のような理性では捉えられない部分もあるかも。

という意味では眠くなるのも、もしかして計算済みなのかもしれない。観客の意識が朦朧として、映画のシーンがもやもや見えるようにしてる。眠い時に心に響くものがある? 

 

ちなみにこの白黒がカラーに変わるという演出は僕の好きな押井守が監督した実写映画のアヴァロンでも引用されてます。

アヴァロン Avalon [DVD]

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 シンドラーのリストでも白黒に効果的に赤を足したりしてたかな。

 あと、ヴィム・ヴェンダースのベルリン天使の詩でもやってたか。

 

 

チェルノブイリ原発事故を予言するかのような描写など、文明批判の要素もありますが、それより人間に対する暖かさがあるのかなーと思いました。

 

 

アヴァロンの話や、タルコフスキーがやっとレンタルできるようになった話、(コンテンツと流通の話に繋がります)など、この映画からさらに話を広められそうですが、眠くなってきたので寝ます。

 

ということでまた次の機会に。

【音楽2】D'Angeloと味覚と嗅覚と

2015年も今日からついに折り返し地点ですね。

 

今年の前半は家庭の事情などでバタバタしていていてブログをサボってしまっていましたが久しぶりに更新しましょう。

 

僕の好きなブラックミュージックです。

あのプリンスも絶賛しているD'Angeloです。

R&Bですが、ヒップホップでもあります。

ソウルでもあります。

とにかく気持ちいい音です。

 

 

今更感はありますが、2014年も終わりかける頃にアルバム、Black Messiahがでました。

あのD'Angeloが帰って来ました。

D'Angelo and the Vanguards名義ですが、約15年の沈黙を破り帰って来ました。

そこで3作を聴き比べて思いついたことを。

 

 

Brown Sugar

Brown Sugar

 

 デビュー作。

とろっとろに甘〜い音楽。

美味しいアイスカフェラテです。

 

 

Voodoo

Voodoo

 

そして歴史的名盤と呼び声高い2作目。

牛乳のまろやかさを抜いた、より深〜い味がするエスプレッソです。

 

もちろんカップの底に乗った砂糖も食べるのを忘れずに。

僕はより中毒性のあるこの2枚目でディアンジェロにはまりました。

 

 

Black Messiah

Black Messiah

 

 

そして最新作は、甘さとまろやかさがありながらもスパイスのあるチャイティーです。

スタバで売ってる甘〜いチャイではなく、本家の、香ばしさと辛さのあるチャイに牛乳と砂糖を入れたような味です。

更にこの新作は政治的な意味も全2作より比べて強いのでそこもスパイスに例えられるかなーと。

 

 

飲み物に詳しい人は「エスプレッソに含まれるカフェインはアイスコーヒーより少ない」とおっしゃるかもしれませんが、まぁこれは一つの例えということで。

 

 

さて、そんなことを考えてたらお腹がすいてしまったので一旦離脱。

またお会いしましょう。

 

【映画37】ゴーン・ガール

セブン、ファイトクラブで有名なデビッド・フィンチャーによる最新作。

 


映画「ゴーン・ガール」予告編 - YouTube

 

ミステリー、スリラーとして始まる映画ですが、ミステリー・スリラーの仮面をかぶったある種の神話的な話として見た方が正しいでしょう。

一言でいうと超スタイリッシュなブラックコメディです。

そしてロザムンド・パイクの演技が神がかってる。

 

【あらすじ】 

ぼけっとした演技が得意なベン・アフレック(というか演技があまりうまくないからぼけっとした役が合う)はニューヨークで男性誌のライターをやっていた。

あるときパーティーで才色兼備でセレブなエイミー(ロザムンド・パイクが演じてる)と出会い2人は結婚する。

 

田舎育ちながらも素朴な人柄のニックと、都会育ちでとても洗練されていて教養のあるエイミーの2人はとても仲が良い様に思われた。結婚5周年の日の朝、エイミーが失踪してしまうまでは。

 

エイミーがいたはずの台所には拭き取られた大量の血痕。

部屋は争った形跡があり、朝から飲んでいてアリバイがおかしなニックが疑われ、

そしてついには失踪事件がワイドショーに取り上げられ、全米を巻き込んだ大騒動になる。

エイミーは帰ってくるのか。

それとも。。 

 

 

【ネタバレしない程度の感想】

好きなフィンチャーが帰ってきた! 見終わったあと、そう思えて良かったです。

正直ミステリ的な部分は先が読めます。そしてそこはそんなに重要ではないんです。

 

ワンシーン、ワンカットそれぞれにどこか怪しさを感じるようなズレをさりげなく入れていて観客を引き込む。以下細かいけど印象的な部分:

 

・冒頭のバーでニックがニックの妹とお酒を飲むシーンで何故かグラスがアップになる

・エイミーが居なくなった現場には飼い猫がいた。劇中何度かその猫の餌の話も出てくる

・あとは細かくて覚えてないけど、字幕では笑えないようなアメリカンジョーク(シャツはパンツにインしないでさりげなく出すのよ、といったどうでも良い台詞とか)がちらほら出てきてクスッと笑わされる。

 

これらの本当に細かくて数秒にしか満たないような演出が積み重なって、結果的に映画全体がずれてくんです。ずれていって、全てのシーンが怪しげで何かの伏線のように感じられる。結果、フィンチャーが得意としてきた事(脚本よりも映像で語る監督)をよりさりげなく、でもより効果的にまとめあげた感じです。

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ注意】 

 

 

 

 

 

 

ワイドショーによるお祭り騒ぎ、

夫婦のあり方、

失業による経済的困窮、

といったかなりリアルな描写が描かれていて、そことうまく非日常的なエイミー失踪事件が絡む。

 

で、要するこの映画はエイミーという女性の狂気を描いた話で、

フィンチャーらしい暴力性がまた今回もすげーな、男尊女卑度半端ない、と思ったら、

原作は女性が書いてたんですね。

そんな話を彼女としてたらとある雑誌で女優の蒼井優さんが

「男性が描く女は女神になり、女性が描く女はグロテスクになる」と言ってたことを聞いてなんとなく納得。

古今東西、神話の世界では女性が女神であり、グロテスクでもあるような描き方がされてますが、この映画はその現代アップデート版とも言える気がします。

 

そう、タイトルはゴーン・ワイフではなくて、ゴーン・ガールというのも重要かも知れません。

 

 

 

ロザムンド・パイクのアカデミー主演女優賞受賞なるか。

そしてフィンチャーのこの力作をきっかけに、今年はスリラーの名作をたくさん撮ったヒッチコックを何本か見てみようかな、と思いました。

 

英語とベネチア式航海術

なんか知らないけど帰宅して食器を洗っていたら、

ふと書きたい衝動にかられたので書く。僕の苦労話をしたいわけでも、恨みをぶちまけたいわけでもなく、ある意味昔の自分に対して言い聞かせてるような文章です。

なので特にオチはない。

 

 

英語

日本で生まれてから、アメリカと日本を行き来した僕はいわゆるバイリンガルだ。

合計9年、しかも言葉を覚えるのに最も適しているとされている0歳から13歳の間に住めたのでその点はタイミングと運が良かったと言える。

 

幼稚園から現地の子達と混じっていた僕は英語を当たり前に、そしてどうやら「楽」をして覚えたと思う人もいるだろう。実際、中学1年生になり帰国した僕を待っていたのは、

「英語ができるってかっこいいね」「英語ができるのうらやましい」といった言葉だった。 

僕はその都度、いらつきを抑えていた。

 

知り合いも、親戚も居ない外国にあなたは住んだことがあるのか。

当たり前のことが当たり前に通じない環境に身を置いたことがあるのか。

そもそも、子供の場合は自らの意思で留学するのではく、

親の仕事の関係である種外国に強制的に移住することになる。

子供にとっては、毎日遊ぶおもちゃや友達、家や学校周辺の風景、出される食事など、

「それ」がどんなに小さな物でも「それ」がある日突然無くなるのは、

すなわち「世界」が無くなるのと同等の恐怖に相当する。

 

「英語ができていいね」という人達はそんな経験をしたことがあるのか。

 

もちろん、「英語ができるっていいね」と軽く言った人達はおそらくそこまでは考えてはいまい。そして、おそらくそういった発言も悪気なく言っているにすぎない。

年を取ってからはそうやって客観してみれるようになった。

 

 

しかし、あえて言おう。

僕は楽をして英語を覚えては無い。

「それ」を取り戻す為に英語が「必要」だったから覚えた。

「それ」とは生まれた日本、育った日本で

あたり前のように過ごしていた日常のことだ。

 

ある日突然、地中深く張り巡らされた根から切断された僕は、

新しい土に再度根付く必要があった。

その為に必要なのがたまたま「英語」だったわけだ。

住んだ国が英語圏でなかったのであれば、おそらくその国の言語を覚えていたであろう。「英語が話せるようになりたい」という願望は否定しない。

しかし、そういう願望を持つ人達は果たして英語が必要なのか。

 

ベネチア

ベネチア共和国という小さな都市国家がかつて地中海にあった。

彼らは水上都市を築き、ヨーロッパで教皇派や皇帝派という人口も土地も、資源もより巨大な相手と対等にやりあい独立を保っていた。水上都市では野菜も育てられず、家畜も育てられない。資源が無い彼らは生きる為に「必要」だった為、航海術を男達に教え、海に出て貿易で生計を建てた。

 

帰国子女に対して、「英語ができていいね」

というのは

ベネチア人に対して、「航海できていいね」

というのと似てる気がする。航海がしたければどうぞ、航海の勉強をしてください。

 

「できていいね」という人達の中には、本当に「できる」ようになる人もいるだろう。

おそらくそういう人達は「できる必要」がある人たちだと思う。

「外国語を覚える一番の近道は、外国の恋人を作ることだ。」という言葉があるが、ある種的を得ている。

 

あなたは、船に乗れるようになりたいのでしょうか。船に乗れたらどれだけ楽しいでしょう。しかし物事には困難はつきものです。船酔いをすることがあれば、船に乗ってから自分の位置を見失うこともあります。ただ船に乗ることだけが目的だと、これらの困難が嵐のようにあなたの船に襲いかかります。

それともあなたは船に乗って大海原を駆け巡り、新しい世界を見たいのでしょうか。新しい世界が見たければ嵐も耐えしのげることができます。そして新しい世界を見て、その地に根を下ろせばそこからあなたの「それ」探しが始まります。

 

ある日突然海に投げ出され、生きるために泳ぐことを覚えた僕は、ついに船に乗り長い航海をすることができるようになりました。新しい世界に根付けた僕はまた次の世界に行きたい為、今は自らの意思で星や風や鳥を頼りに次の世界への航海に出られます。

 

大海原に出なくてもいい。

人によっては大海原に出ることで様々な「それ」を経験できるし、

同じに地に深く根を張っている人は、よってくる蝶々や蜂、風の暖かさや冷たさなどその人にしか感じられない「それ」があるはずだ。

憧れや羨むことは決して悪くはない。

そこで止まってしまい、自分が育たないのを日光の性や、水分不足の性にするのくらいなら、蝶々や蜂と会話をしてみればいい。

 

あなたの「それ」を見つけよう。「それ」が十分足りていれば、「それ」を大事にしよう。とにかく、あなたの世界を作るのは「それ」であり、「それ」を周りの人や、次の世代に共有できるのは素晴らしいことだと思う。自分だけ芽がでるのも良いが、自分以外にも多く芽が出れば辺り一面景色が変わるだろう。そしてこのブログが一つのきっかけとなり、新たな芽がたくさんでて、いずれは景色そのものを変えてしまえば本望だ。

 

 

 

ということで今年も宜しくお願いします。

 

 ベネチア共和国についてはこちらの本がオススメです。

 

 

海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

 

 

 

 

 

【映画】2014年に見た映画

映画レビューをちょくちょくしてるこのブログですが、

自分用のメモも兼ねて今年見た映画(新作、旧作含む)をリストアップして1年を振り返りたいと思います。

尚、映画の並び順には意味はありません。

 

 

 

1天国の門

2ディアハンター

3海の上のピアニスト

4合衆国最後の日

5ニューシネマパラダイス

6ランブルフィッシュ

7イヤーオブザドラゴン

8レッドクリフ

9トランス

10地獄の黙示録

11ハスラー2

12時計仕掛けのオレンジ

13シャイニング

14グッドフェローズ

15マネーボール

16カポーティ

17シティオブゴッド

18ソラリス

19レイジングブル

20地獄でなぜ悪い

21プレイタイム

22僕の叔父さん

23グランドイリュージョン

24都会のアリス

25ナイト・オンザ・プラネット

26リミッツ・オブ・コントロール

27ライフ・イズ・ビューティフル

28グリーン・フィンガーズ

29ミッドナイト・イン・パリ

30ローマでアモーレ

31ポルトガル、ここに誕生す

32アラビアのロレンス

33ル・アーヴルの靴磨き

34ムーンライズ・キングダム

35ダージリン急行

36うる星やつら2 ビューティフルドリーマー

37ザ・ロイヤル・テネンバウズ

38灼熱の魂

39ライフ・アクアティック

40天使にラブソングを

41天使にラブソングを

42ゴースト・バスターズ

43華氏451

44大列車強盗団

45ピアノ・レッスン

46グッド・モーニング・ベトナム

47ミセス・ダウト

48ガープの世界

49インドへの道

50レナードの朝

51シャネル&ストラヴィンスキー

52コンタクト

53ダラス・バイヤーズクラブ

54フォロウィング

55スローターハウス5

56レニングラードカウボーイズ・ゴーアメリカ

57インターステラー

58アナと雪の女王

59マレフィセント

60ドン・ヘミングウェイ

61ゴジラ

62オール・ユー・ニード・イズ・キル

63グランド・ブダペスト・ホテル

64それでも夜は明ける

65ハング・オーバー!消えた花婿

66クロニクル

67裏切りのサーカス

68ベルリン天使の詩

69レスラー

70サウンドオブミュージック

71ハングオーバー

 

 

 

 

監督別では今年はウェスアンダーソン作品を1番多く見た1年だった。そして彼の新作のグランドブダペストホテルは自分の映画ランクのかなり上位に入る。

 

ウェス・アンダーソンから派生して、ラブコメウディ・アレン、緩くて、でもなんか洒落てるジム・ジャームッシュフィンランドを代表する人間愛溢れるアキ・カウリスマキも見て、そしてフランスのチャップリンことジャック・タチも数本見た1年だった。

 

緩い系統以外だと、

マイケル・チミノはディアハンターの素晴らしさからその後のハリウッド全体を巻き込む波瀾万丈の監督人生、

やっと見れたフランシス・フォード・コッポラ地獄の黙示録はもう評判通りの映像と音楽そしてキャラが立っていて、

ドゥニ・ヴィルヌーヴの灼熱の魂は恐らく衝撃度では人生トップクラスだった。

 

 

ロビンウィリアムズの死去に伴って、未見だった彼の映画を見て1人で追悼会を開き、

 

インターステラー、ライフイズビューティフル、そしてニューシネマパラダイスあたりは文句無しの傑作として万人にお勧めできる良作だったと思います。後はルーカスやスピルバーグに影響を与えたイギリス人監督デビッド・リーンによるアラビアのロレンスは歴史好きにも、映画好きにもオススメできる濃く、深い、映画の教科書の様な傑作でした。

 

こうやって振り返ると結構いいもの見れた1年でした。

来年はもう少し邦画も観れるかな、と思いつつ完全にフィーリングに任せて見てるのでどのタイミングで何を見るかは来年のお楽しみにですね。

 

取り敢えずゴーンガールは映画館で早めに見ておきたいな。

 

今年もブログを読んで頂きありがとうございました。来年もご笑覧宜しくお願いします。