映画で学ぶファッション史

生きたファッションは映画やドラマで学べる! 洋服屋による映画レビュー。 チームで映画も作ってます。

【ファッション史15】ラ・ラ・ランドのファッション〜後編:開襟シャツとスペクテイター・シューズ

前編は映画の色使いについてでしたが、後編はライアン・ゴズリング演じる、セブ役の服装について解説します!
 

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まず、このセブのシャツを見てみましょう。
開襟(またはオープンカラーと呼びます)のシャツを普段から着て、髪をキチッと固めるスタイル、カッコいいですね。
 
実はこういうスタイル、メンズファッション誌Popeyeの4月号でも紹介されてます。
 
POPEYE(ポパイ) 2017年 4月号[春はほんわか、気分はコンサバ。]

POPEYE(ポパイ) 2017年 4月号[春はほんわか、気分はコンサバ。]

 

 

 
 
そもそも開襟シャツとは?
 
まず開襟シャツの特徴は、名前の通り襟が開いてる点があげられます。襟が開くだけでなく、襟が倒れた状態になりますね。
当然ですが、ネクタイを締めるのには適していません。
 

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開襟シャツのもう1つの特徴ですが、裾がスパッと横に切られています。
 

 

 

 

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開襟シャツ

 

 

 
本来、シャツはパンツの中にしまう設定で裾が長く作られています。
シャツは元々ヨーロッパの貴族が着る肌着でした。 
 

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17世紀のヨーロッパの男性貴族の肌着(シャツの原型)
 
 
日本人ではあまり見かけないですが、未だに欧米の人はシャツを直接素肌に着る人、多いです。 
なので、欧米の上流階級の人はスーツを脱いでシャツ1枚になることはあまりないです。
 
本来、シャツの上にはベストを着て、その上に上着を着るという決まりがあります。
(ベスト:ヴェスト→ウェーイスト・コートwaist coatが転じた、という説もあり。)
 

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これはダブル仕立てのウエスト・コートですね。
 
 
上着+ベスト+シャツの組み合わせは、重たいだけでなく、夏には暑くて着れないですよね。
こうして、メンズファッションはベストを簡略化し(あえて今でもベストをきちんと着る人もいますが)、シャツも肌着要素が減り、今に至ります。
 
開襟シャツは、こういったシャツの進化系の一種ですね。
ボーリングシャツやアロハシャツは最も有名な部類の開襟シャツに入ります。
 
 
 
 
続けて足元も見て見ましょう。

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最初のパーティーのあと、2人がタップダンスをするシーンがありますがわざわざミアはヒールから別の靴に履き替えてますね。
 
 
これ、タップダンス用のタップシューズなんですが、セブは履き替えていません。
ミュージカルとしては、タップシューズに履き替えさせて踊るというのはアリですが、タップシューズは普段履きはしないのですね。
 
セブが履いてるのはスペクテイターシューズです。
 

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コンビシューズ、ツートンシューズとも言われますが、2色使いの靴の起源はスペクテイターシューズと言われています
 
 
スペクテイター(spectator)とは、観戦者という意味がありますが、これ、元々はスポーツや競馬を観戦する人が履いてたんです。
1920年代頃、欧米の貴族や上流階級の人達はスポーツ観戦や競馬を見に行く際に適したお洒落をしました。競技場や競馬場は当時は重要な社交の場だったようです。
まだまだスニーカーなんてない時代、少しでも革靴をスポーティに見せる為、2色使いにしよう、と生まれたのがこの靴です。
 
 
さて、開襟シャツにスペクテイターシューズというちょっと一癖ある服を着てるセブ。
忘れてはならないのが、彼はジャズミュージシャンとういうこと。
しかも頑固者として描かれていて、ジャズ全盛期の頃が好きで好きで仕方ない人として描かれてる。
 
実はこの組み合わせ、1940年代〜1950年代のビバップからモードジャズなどがジャズ全盛期の頃の服装なんです。

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フランク・シナトラ-1943年の写真

ジャズ歌手、ミュージカル俳優、そして当時のアメリカを代表する大スターにしてアイドル、フランク・シナトラの写真です。

セブが崇拝してる部類のジャズミュージシャンではないですが、開襟シャツと、靴もうっすらとですが、2色使いになってる写真をみつけました。

 

 

とういうことで、前編後編に分けてお送りしたラ・ラ・ランド特集、いかがでしたか?

 

 

 

色々な意見があるラ・ラ・ランドですが、僕は楽しめました。

舞台ミュージカルの映画化や、ディズニー映画ではない、オリジナル作品なのに世界中で大ヒットを連発。

しかも製作は、ワーナーや20世紀フォックスなどのハリウッド6と呼ばれる大スタジオではないのです。

 
そして更に、夢を追いかける若者を描いた作品というのが憎いですね。
悔しさをバネに、ブログを更新し続けます!
 

 それではまた! 

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